ERPのテストはRPAで自動化する

RPAと言えばホワイトカラー業務を自動化・効率化するツールのイメージですが、実は業務を効率化する以外にも RPAを導入することで様々なメリットがあります

それらの業務効率化以外のメリットの中で、ここではERPやCRM等のシステムテストRPAで自動化出来る点についてご説明しています。

システムエンジニア・コンサルタントの人手不足は深刻

SE・システムコンサルは人手不足・採用難が続いている

日本は人口減少社会に入り、今後あらゆる産業で労働力としての人手不足が深刻化していくことが予想されており、2018年3月の厚生労働省の調査結果では、全求職者に対する求人数の割合を示す有効求人倍率は全体で1.59倍となっています。

 

これはあくまで全求職者に対する求人件数であり、特に情報システム産業での人手不足は深刻で、DODAの調査によれば、IT・通信分野のエンジニアに対する有効求人倍率は8.02倍と高水準が続いています

どこのシステム会社も人材紹介会社に紹介を依頼しても、応募者がなかなか無いのが現状となっています。

このIT業界の人材不足の状況に、業界特有の人の流動性の高さ人材紹介会社などの高額な紹介料などが、結局は回り回ってユーザー企業に高額なITコンサルティング・システム開発費用として請求される構図に繋がっていると言うのが現状です。

 

エンジニア・プログラマーを増やしても先が見えている

システム系の要員はプログラムを書けて、戦力になるレベルまで育てるのに数年はかかってしまい、急には増やせない事情もあるのですが、あまりに開発要員を増やしても先々それほど必要無くなる可能性が高いと言う事情もあります。

それは、システム業界の構造が急激に変化してきているからです。その要因としては以下の様な点が挙げられます。

 

◆ クラウド全盛時代に入る

これまでのオンプレミスと言われる、自社でサーバーを購入しソフトウエアを導入・開発するシステムの構築方法から、クラウドベンダーがアプリケーションサービス(SaaS)やソフトウエア部品として提供している機能を組合せてシステムを構築する方法に変わってきています。

これにより、ほぼそのまま使えるレベルまで完成している業務アプリケーションのコンフィグレーション設定や機能部品を組合わせて使うPaaSの技術が要求されるようになってきています。

更にクラウド環境では、通常あまり追加開発をしない(させない)ため、プログラマーの需要は今後減っていき、むしろ、これらのクラウド環境(上の部品)を使いこなすシステム全般の知識・経験やビジネス要件をそれらに当てはめる能力が求められてきます。

 

この様にクラウド上のサービスとしてERPやCRMなどの機能をSaaSサービス(パブリッククラウド)として提供されている場合、バグ修正や機能追加の為に定期的にプログラムが更新され、その度に(半年に1回程度)再テストを求められます。

ERPの導入プロジェクト中はシステム要員を多く抱えているため問題にならないシステムのシナリオテストも、稼働して1年、2年と経過すると、どの様に動作するのが正しい姿なのかすら解らない状況となってしまいます。

そなってからのシナリオテストは次第に困難になってしまいますので、元からテスト自体をRPAシナリオ化しておき、定期的に再テストが出来るようにしておく事は非常に重要だと言えます。

 

◆ 開発モデル(手法)の変化

日本のSI(システムインテグレータ)はいまだにウォーターフォールと言われるシステム化企画、業務要件の定義から開発・テスト工程まで後戻りせずに進める開発手法を使っています。

 

しかし、この旧石器時代の開発手法を使っているのは日本のSIだけで、世界では「アジャイル」と言われる手法でシステム導入を進めるのが基本となっています。

特にGUIと言われる、今のWindowsやMacのPCのようなグラフィカルなウインドウ操作体系になってからは、人のコンピュータ操作が順序通りに流れないのです。人によっては開発側が想像もしなかったようなボタンを押してみたりします。

従って、顧客と画面を見ながら部品を貼付け、その部品に関連する動きをプログラムで定義していく工程を複数回繰り返します。そうする事で徐々に完成度を上げていくのがアジャイルの手法です。

 

詳しくはこちらに説明していますが、とにかく言える事はIT会社に都合がいいのがこのウォーターフォールを採用している理由です。

 

◆ パッケージソフトウエアをベースとする

最近の変化ではありませんが、余程特殊なシステムでなければ、開発のベースにすることが出来るパッケージソフトウエアが販売されていますので、そのパッケージソフトウエアを購入し、足りない機能を追加開発・設定していきます。

  • 時間の短縮
  • 完成度が高くなる
  • 費用削減
  • ユーザーがイメージし易いため、完成してからイメージが違ったりする可能性が低くなる

このやり方によって上記のような利点があります。あまり売れていないパッケージソフトウエアであっても、機能や画面などがそれなりにあり参考に出来ますし、少なくとも1から基本設計してプログラムを開発する(スクラッチ開発と呼ばれます)よりは早く、完成度が高いものになります

クラウド時代でSIは終わったのか

今後システムエンジニアに求められるスキル

上記に挙げたクラウド・パッケージベースの開発以外に、IoTやAI、FinTec、RPAなど新しい概念や技術が次々と出てきて、システム系のエンジニアは常に勉強を続ける必要があります

これらの新しい技術にキャッチアップしていけるエンジニアはごく一部で、通常の会社勤めしているエンジニアにとって、参加するプロジェクト案件を選べる事は少なく、運の要素も多分にあります。

結果的に長年プログラマーとして開発を続けた結果、開発要員としての適齢を過ぎ、スキルが時代遅れとなってしまった大量の元エンジニアを抱え込む事になってしまうのです。

エンジニアは常に、時代を先取りしたIoTやAI、RPAなどの技術を磨いておく必要がある

IoT・AI時代に必要なスキルとは

RPAによるERPテストの自動化で解決出来る

RPAとは(Excelマクロとは違う

RPAとは、PCの繰り返し作業を自動化、効率化するツールです。Excelマクロとの違いは、Excelなどのアプリケーションに閉じた繰り返し作業ではなく、PC上で動作する殆どのアプリケーションを自動化し、その間をつないだ業務フローに化出来る点です。

デジタルレイバーとも言われていますが、これまで手つかずだったホワイトカラー業務を効率化する、「働き方改革」の本命と期待されています。

リストラされない為にAIとRPA位は知っておこう

RPAでテスト工程を自動化出来る

本来RPAロボットは、主に業務ユーザーが日々残業しながらこなしているPC繰り返し雑務を効率化・自動化する目的のものですが、システム導入プロジェクトのテスト工程でも使える、むしろ使うべきではないかと考えています

特にERP・CRMなどの基幹業務システムの導入プロジェクトを実施する場合、そのプロジェクトでは業務フローと言われる業務の流れを詳細に定義した資料を作成します。

 

これは、システム開発する上での業務設計図のような役目のもので、どの部分をシステム機能として開発し、どこは手作業なのか、受け渡す情報は何なのか、そのデータの元はどこから来るのか、など、作業だけではなく情報の流れも含めて定義します。

よって、それらの基幹システムに実装しない業務も含めて全ての業務を明らかにする良い機会となります。そして、開発が完了すると、その設計図に沿って想定した通りの動作をするかテストをすることになります。

通常は業務に沿ったテストシナリオとデータパターンを予めExcel等で作成し、手作業でそれらの値をERPなどの画面から入力してテストをします。

テストシナリオ(≒ 業務フロー)とデータセットがあり、繰り返し実行するテスト。このテスト工程こそ正にRPA化するのに適した作業なのす。

 

RPAによるテスト自動化で良くなる事

このシステム導入におけるテスト工程をRPAテストにすることで様々な付随的な利点があります。例えば以下の様なものです。

  • 再現性があるため再テストが楽になり、全く同じテスト条件での再テストが可能
  • クラウド特有の稼働後の定期的なテストにも使える
  • エンジニアの人手不足を補える
  • 基幹システムの前後を繋ぐ全体ワークフローをRPAに定義するため、業務設計文書になる
  • 基幹システムの周辺業務を定義しているため、画面からの手入力の自動化に使用し、業務を効率化出来る
  • 結果的に構築費用・導入後の運用費用を含めて低減できる

テスト自動化ツールはSAPのCAT(Computer Aided Test)等、パケージソフトによっては内部にその機能を持っています。しかし、RPAでテストを行う事で、パッケージソフトに閉じた業務フロー以上のシステムをまたがった業務のテストと上記のような付随した利点を享受できるようになるのです。

 

 

 

 

 

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