既にWinActorを結構使いこなして業務を自動化・効率化している方も多いかと思いますが、使っていくとどうしてもテキスト処理を行う部分のノードが増えて複雑になってしまいます。この点を解決する機能がWinActor に追加されました。それがこのWinActorノートと言う機能です。
WinActorノートの目的
WinActorにバージョン6から追加された新しい機能「WinActorノート」はこれまでWinActorが弱かった(出来なかったわけではありません)複雑なテキスト処理をシンプルに(シナリオ外で)実施する付属専用ツールです。
これまで(バージョン5)は「文字列比較」、「文字列操作」のノードを組み合わせてテキスト処理を行っていました。これらのノードは「検索」「置換」「空白除去」などの単機能ですので、複数のノードを組み合わせて実現する必要がありました。ちょっとまとまった複雑な機能を実現しようとすると、このテキスト処理部分だけで10個~数十のノードを組み合わせることになり、シナリオ全体の見通しも悪くなってしまいます。
もしくは、ExcelやWordなど外部ツールの検索機能や関数・マクロを組み合わせて行っていましたので、このようなテキストの「検索、抽出、加工」をWinActor内で実行できるようになる便利なツールです。
WinActorノートの使い方
WinActorノートへテキストを取り込み
WinActorノートはWinActorの1機能でWinActorのメイン画面メニューから呼び出しますが、完全に別画面で動作する付属のテキスト処理専用機能です。このテキスト処理を専門に行う機能にファイルかクリップボードから文字列(テキスト)を入力します。
WinActorノート内で編集
入力したテキストを、「ブロック(行)」で選択するか、または「マーク」して必要な情報以外を削除したり、WinActor内で扱いやすい形に編集・成形します。通常プログラムで行う次のような文字列操作が可能です。
- 文字列検索
- 後方一致
- 前方一致
- 文字(列)を含む
- 文字列抽出
- 文字列分割
- 文字列連結
- 文字列コピー
- 文字列ソート
- 昇順
- 降順
編集結果の文字列を出力
編集が終わったら結果の文字列を下記のような出力先に出力し、WinActorのシナリオ内で使うことができます。
- 外部ファイル
- クリップボード
- WinActor変数
WinActorノートの用途・使用例
WinActorの使用用途・イメージとしては、次のようなものが考えられます。
受注メールを起点にしたシナリオ
今回のバージョンアップ(バージョン6)ではOutloolなどのメール機能も強化されていますので、受信メールの表題によって処理内容を変えたり、メールの本文に記載された内容を自動的に整理し、自社システムに取り込んだりすることが可能になりました。
この様な受信メールを起点にした業務の自動化は結構お問い合わせが多かったのですが、受信メールを扱おうとするとバージョン5まではどうしても画像マッチングをつかった不安定な処理にならざるを得なかった面があります。
今回、このテキスト処理機能と、メール受信機能が追加されたことでかなりWinActorの用途が広がったのではないかと思います。
検索結果Webページの整理
Web検索結果を元に情報を取得・整理するようなシナリオも多いかと思います。これまでもいわゆるタグやリンクが付いている、もしくはボタンを押すような操作は自動記録で簡単に自動化出来ていました。
しかし、最終的に取得したいWeb画面の情報を取得する部分、特に表ではなくテキストを取得し、整理するような部分がどうしても発生してしまい、従来の文字列操作ノードで苦労して作成していました。
今回、テキスト処理を行う専用機能が追加されたことで、この部分が大幅に軽減されると思います。
OCRスキャンした定型文書から値抽出
OCRを使って提携帳票を取り込み、処理している方も多いかと思いますが、テキスト変換された結果から目的の文字列を抽出する部分で苦労されているのではないでしょうか。
この様なシナリオにもこのWinActorノートはうってつけだと思います。定型帳票であれば殆どの場合、入力項目の上か左側にラベル(入力すべき内容の説明)がありますので、そこをWinctorノートの機能で検索することが出来ますし、恐らく行数なども固定ですので、何行・何列目の文字列を取得するかを固定的に定義できるかと思います。
そのような意味で、このWinActorノートは非常にOCR帳票のデータ整理にマッチした機能ではないかと思います。
公開されるPDF文書から文字列抽出
定期的に文書やデータが公共機関やWebサイトで公開されることがあります。これらのサイトからダウンロードしたデータや文書などのPDFから特定の文字列や数字を抽出して自社のシステムに整理したりできます。
- 財務諸表
- 登記簿謄本
- 公共工事の公募案件公示情報
- 株価・為替情報
- ECサイトでの価格・在庫量
上記は単なる使用例ですので、その他にもアイデア次第でいろいろ考えられると思います。