RPAロボは将来AIの頭脳を持つ

RPAも普及期に入り、ご存知の方も多いかと思いますが、現時点のRPAは業務を完全に自動化出来るとは言い難い状況です。それは、現時点のオフィスでの仕事環境やビジネス上の取引がまだまだ紙の手書きが情報の発生源だったり、柔軟な人の判断が必要だったりと言う問題があります。

IoTなどの進展によって、将来的にはそう言ったビジネス環境もRPAが活躍し易い環境に変わっていくでしょうし、RPAのほうもAIを内包する方向に進化して行きそうです。ここでは、その辺りの今後のRPA周辺技術の展開の方向性予想をご紹介しています。

現在のRPAが出来る事、出来ない事

RPAとは

あまりご説明の必要もないかとは思いますが、あまりご存知ない方の為に軽く現在のRPAについてご説明しておきます。

RPA(Robotic Process Automation)とは、認知技術(ルールエンジン・機械学習・人工知能等)を活用した、主にホワイトカラー業務の効率化・自動化の取組みである。

WikiPediaではこの様に説明されていますが、少なくとも現時点でRPAツールとして販売されているソフトウエアツールは下記の説明のほうが適当かと思います。

業務ユーザが日々行っている「パソコンでの繰り返し雑務」をルールに従って繰り返し、自動化するソフトウエアツール

 

そのRPAは現在どの様な目的で導入が進んでいるのか、ホワイトカラー業務の自動化だけではない、RPAロボの導入目的をこちらにご説明しています。

RPA導入の目的・効果

 

現在のRPAに出来る事

それでは,現段階のRPAツールに何が出来るかですが、以下の様に整理できるかと思います。

  1. 操作対象:Windowsパソコンの画面で動作する殆どのアプリケーション、コンソール画面
  2. 認識技術:UI認識(アプリケーション画面)、画像認識、座標認識、ファイル認識
  3. ロジック:ルールベース(ルールエンジン)

認識技術(2)によってWindowsパソコンの画面に表示されるアプリケーション画面ボタンや入力窓の場所を認識して、ルール(3)が明確になっている繰り返し業務をWindowsパソコン(1)に対してあたかも人が操作しているようにマウスやキーボードを操作する事で、これまで手作業で行っていた業務を自動化します。

よって、上記の3点(特に3.ルールベース)の条件が揃って初めて自動化の対象業務と出来ます。詳しいRPAの仕組みはこちらをご参照下さい。 ⇒

 

現在のRPAに欠けている点、限界

現在のRPAに欠けている点は、一言でいうと「柔軟性」です。RPAロボットはあくまでソフトウエアで実装されたPC内で動作するロボットですので、柔軟性はありませんし、現在のRPAには限界があるのも確かです。

 

当然ですが、一部のOCR機能を内包するRPA以外は、RPA単独で紙の伝票などに手書きされた文字を読み込み、操作するような事はできませんので、この様な場合の殆どは別売りのOCRソフトと組み合わせて使います

現在のプログラム言語で記述されたソフトウエアは、厳格で、矛盾・曖昧が許されないロジックの世界です。ここがAI機械学習が期待されている由縁です。

AI、特にディープラーニングは将来的にRPAのルール・ロジックに柔軟性をもたらす可能性を秘めています。

 

RPAの将来像

上の通り、RPAツールは発展途上の考え方・ツールですので、機能面や用途面において今後大きく発展する可能性を秘めています。ここでは、今後のRPAツール、及びその周辺で可能になりそうなことを予想しています。

基幹システムに組み込まれる

ERPは西洋で生まれた概念に基づくソフトウエアですので、管理者と多数の作業者(ワーカー)がいて、ワーカーは指示された通りに画面から間違わずに手入力する正確性が求められます

あくまで手入力が基本であり、日本の様にホワイトカラーがその様なPC入力的な雑務を行うイメージは無かったのですが、ここにきて日本では「働き方改革」と叫ばれ、特にホワイトカラーの労働生産性が問題となっています。

もう既にその動きが出て来ていますが、従来は素っ気ない画面からの手入力が標準だったのですが、多くのERP大手ベンダーがERP周辺のシステムとの自動連携機能を付加しようとしています

もしかしたら、これまでのソフトウエア業界の歴史にあった通り、どこかのRPAベンダーは大手ERPベンダーに買収されるのかも知れません。あくまで基幹システムへのデータ取込みや自動入力、抽出などがこの機能の中心になるとは思います。

こちらに、今現在ERPの内部にアドオン機能として追加開発している機能や周辺システムとの連携をRPAで代替出来ることをご説明しています。 ⇒

 

システム間をつなぐ基盤になる

現在のRPAでもシステムとシステムの間をデータとしてつなぐことは可能ではあるのですが、RPAが普及して、PCでの繰り返し業務はRPAロボが行うのが普通な世の中になってきたら、RPAで自動化する前提でデータ構造やアプリケーション画面を作成するようになると思われます。(XMLみたいなものでしょうか)

そうなってくると、更に社内システム間や会社を跨いだデータのやり取りをRPAロボで自動化出来るようになっていくものと思われます。

RPAはシステム間をつなぐ

 

AIで出来るようになる事

AIとは

AI(人工知能)自体は1950年代位から取組みが始められた新しい概念ではありませんが、最近特に話題になるようになったのはディープラーニング領域の研究が進んだ事によります。

ディープラーニングの応用としてよくあるのが、画像認識音声認識などのコグニティブと言われる領域ですが、RPAロボが活躍するビジネス領域で直ぐに使えそうなのは音声での作業指示のように思えます。

この他に従来からある統計学の延長として、分類、クラスタリング、回帰、異常検知、レコメンデーション、情報圧縮などの機械学習領域があり、これらAI領域は明確な答えを出すものではありませんので、どうもRPAとは相性が悪そうに思えます。

そう考えると、やはり強化学習をRPAロボに組合わせる方向が一番相性が良さそうです。

強化学習では、一連の行動(作業)の結果として、最終的にうまく行ったのか、そうでなかったのかと言う事実から各行動が正しかったのかを自ら学習します。

既に、産業用ロボットにはこの強化学習が組み込まれる研究が盛んに実施され、一部実用化されています。

リストラされたい為にAIを知ろう

 

RPAにはAIが組み込まれる

先にも書きましたが、現在のRPAに欠けているのは「柔軟性」であり、将来的にはAIがそこを補強してくれる可能性が高いと思われます。例えば、下記の様な事がRPA+AIで出来る様になるかも知れません。

■ 例外処理の自動化

現在のRPAはルールエンジンに明確なルールを事前に定義し、そのルール通りに動作するロボットですが、やはり実際にRPAを動かすと、想定していなかった事が発生して上手く動かない事があります

それは、何かのPC環境が変化したために、ポップアップが出たり、データが不正だった為にワーニングが出たりと理由は様々ですが、この例外処理の全てを予め想定してRPAのシナリオを作成するのは不可能だと思います。

この例外処理をAIによって柔軟に対応できるようになると考えられます。それは、RPAの動作ログやその結果を強化学習していく事で次第に正しい操作を学んでいけるようになるでしょう。

■ 意思決定支援

経営戦略と同様でビジネスに100%正しい答えは有りませんが、一連のビジネス的なデータから結果がどうだったかを元に強化学習する下記のような意思決定支援が考えられます。

  • 生産タイミングやロットサイズ、生産順序などの計画策定や柔軟な計画組換えの提案、意思決定支援
  • 物流・購買等の計画、指示においてタイミング、ロットサイズ、物流業者などを過去の実績に基づいて提案する
  • 顧客の購買行動から、買ってくれる可能性が高い商品のレコメンデーション
  • 客先消耗品の在庫切れ予測・高機能品への切り替え提案
  • CMS(キャッシュマネージメント)などの最適資金計画の支援
  • コールセンターのログデータから顧客行動を予測し、先回りして質問への回答を画面に提示したり、追加購入、高機能品への切り替え提案など
  • 客先のデフォルトリスク予測による追加販売・売掛回収提案
  • 社員の就業状況や評価結果など様々な行動データに基づくメンタルヘルスの悪化、退職リスク評価、リテンションなどの予測・提案

など考えだすときりがなく、同様なビジネス応用例は多数考えられるかと思います。

これらは、RPAが動作の過程で扱うデータと一連のRPA処理ログ、そして結果としてのビジネスパフォーマンス等のデータをRPAロボが収集可能と考えられるためです。何より重要なのはこの点です。

現在の会社にAIを適用しようとすると、殆どの会社にはAIの学習に使えるデータが無い。このAI学習用データをRPAが動作ログや扱うデータから収取出来る可能性が高い

 

■ 音声指示

外出先やPCを直接操作し難い環境において、若しくは現在は人に対して言葉で指示しているようなビジネス環境において、音声で何かを指示し、その指示に応じて会社PCで動作しているRPAロボが作業をして、結果を音声で返すような使い方です。

現在のRPAの使い方はルールに従ったデータの繰り返し処理が主だと思いますが、将来的にはチャットBOT等と組み合わせてこの様な使い方も多くなるのではないかと考えられます。

正に、ロボット秘書や部下に遠隔地から電話やチャットで指示するイメージです。

まとめ

RPAが普及し、AIやRPAロボットと共に働く事が普通の状態になってくると、顧客や仕入れ先ともRPAで処理する事を前提としたデータの受け渡しになったり、会社間取引の処理自体をRPAで処理するようになることが想定されます。

AIという言葉はあえて付け加える必要も無い位に普通に生活に溶け込み、機器に組み込まれた状態で出荷されるでしょうし、RPAにも当然のように組み合わされた状態で使われるようになるでしょう。

そして、当然のようにこれらのロボットと並んで仕事をしているかも知れません。私達の仕事の環境もAIやRPAロボと協働するのに向いた環境に変わっていくものと思われます。

 

 

 

 

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