AI のビジネス応用が高額になる理由

これまでシステム会社やコンサルティング会社への丸投げIT開発を続けてきた日本企業は、AI、データサイエンスの波が押し寄せ、取り残されるか、情報分析に基づくIT戦略能力を自社内に蓄積していけるかの瀬戸際に立たされています。

AIの実装はIT会社に丸投げは出来ませんので、今からAI機械学習に関する取り組みを開始したとしても既にかなりの遅れをとっている可能性が高いと思われますし、その様なことを社内で進めようとすると、人事組織・評価体系などから見直す必要があります。

また、IT会社に丸投げでAIを自社の業務に適用しようとすると、高額になってしまう可能性が高いのです。その辺りをここではご説明しています。

誰も見積り出来ない

ビッグデータの分析やAI機能を自社の業務に適用しようとしたときに、日本の会社はシステム・インテグレータと言われるIT会社や専門コンサルティング会社に依頼するのだと思います。それはそれでいいのですが、その費用を依頼された側もユーザ企業側も読みにくいのが問題ではないかと私は感じています。

依頼する側

ざっくりと、社内のこの値を見ていれば、連動してここの値がこう動くと判っているから、こんな事がAIで実現できるのではないか、など、ある程度ユーザ企業側に因果・論理が判っている場合はまだいいのですが、殆どの場合、そこすら明確でないままシステム会社に依頼し、依頼された側のSI会社も断る訳にもいかず見積を提示します。

しかし、その因果関係が30%連動するものなのか、90%以上関連性があるものなのか、それによって得られるビジネス効果も変わってきますし、どれほどの金額をそこに掛けて良いのか解らない状況です。

 

依頼される側

システム構築を依頼されたIT会社側も、設計・開発したシステムで顧客が言っている因果関係に基づく効果を出せるものなのか判らないため、見積は準委任契約と言われる「かかった分だけ請求します」見積にならざるを得ないと思います。

加えて、効果が出るまで付き合わされる、下手したら訴訟沙汰になるリスクを負ってまで完成を保証する請負開発と言われる契約形態で受注したとしても、かなりのリスク金額を積んだ見積を出すしかないでしょう。

 

やってみないと誰にも判らない

データ分析は自社でしか出来ない

そもそもデータ分析をやってみないと誰にも判らない、AI予測や、人の判断に近いような業務が出来るか、代替出来るかなど判らないままに、現存するシステム会社に依頼することは非常に難しい。

と言わざるを得ないのです。

やるとすれば、メーカでよくある研究開発予算を計上し、社外のエキスパートに結果ではなく、自社内プロジェクトに参加してもらってナレッジを蓄積しつつデータ分析・AI活用のスタディーを進める方法でしょうか。そして、ある程度の精度、効果が見えてきて、初めて本格的にシステム会社にそのシステム実装を依頼するのが正解だと思います。

何れにしても、

自社のビジネスを最も解っている(そうでなければいけない)の自社内で地道にデータを蓄積・分析し、そこからビジネス的に意味のある施策・戦略を見出していくしかない

 

コンセプト検証は外部委託できる

この事前検証をIT各社がPOCと言われるコンセプト検証サービスとして提供していますが、これにしても期間が2,3ヶ月と切ってあったり、検証内容を事前に決める必要があるなど、ほぼ見えている状況でないと難しいと思われます。

IT会社の立場では、殆ど儲けにならない、マーケティング・営業活動に近い位置づけであり、力も入らないと思いますし、その2,3ヶ月の間に何がしかのシステム実装の受注に繋がる効果を検証しなければいけないプレッシャーがあります

繰り返しになりますが、データを基に検証した結果、そこにはシステム実装に繋がる程の効果はない可能性すらあるのです。

 

システム開発の手法も違ってきている

加えて、昨今のシステム構築の手法は以前のようにシステム会社のSEが数か月掛けて要件定義し、プログラマーが何百人月掛けてコーディングするようなやり方ではなく、各社のクラウド基盤上にAIや統計解析、ビッグデータをハンドリングする基盤、IoTのセンサー連続データを取込みグラフ化する機能など殆どの機能部品が使える状態で揃っており、それらを組合せて使うシステム構築になって来ています

 

そして、クラウド上で組み立てたAIなどの単体機能をAPIサービスとして外部から呼び出せるように出来るため、違ったクラウド基盤上で構築したAPI機能どうしを組合せて一つのシステムとして構築していく事が可能となっています。よって、実際にはそれらの機能部品を使いこなすノウハウ、技術が重要になってきています。

このシステム構築手法は、SI会社のビジネスモデルそのものを破壊しつつあり、特に日本国内で日本人がプログラム開発する必要性が激減する方向に確実になります。

このような開発手法の変化もあり、当のIT会社自体が、AI機能を実装する場合の構築費用を算定し難くしている要因でもありますし、ユーザー企業にとっては更にシステム会社から提示された見積が妥当な金額なのか判断し難いと思われます。

 

システム開発の本来あるべき姿へ

アメリカ企業などは既に以前からそうなのですが、ユーザー企業自体が本当の意味の戦略部門としてのデータ分析能力を蓄え、マーケティング、営業、製造など様々な経営判断に資する前提情報を確認していく方向にならざるを得ないのだと思います。

そして、外部のデータサイエンティストなどのエキスパートが技術的なナレッジ、スキルを提供し、自社の業務に精通した社員との協業により、データの山から価値ある知見を見出し、意思決定者にデータに基づく意思決定を促すのだと思います。

ITは丸投げするものではなく、既に経営戦略の一部、もしくは戦略そのものとなっています。

 

 

 

 

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