AI は丸投げ出来ない

AIやビッグデータ分析は、実データを分析をしてみないと誰にも効果があるか判らないのです。それは、仮説検証のアプローチであり、従来のITの丸投げ発注とは相容れない世界です。

日本企業は丸投げIT開発を続けていると、企業競争力を削がれ世界から取り残される可能性が高くAIやIoTのような技術進歩に組織としてとう対応していくべきか、ご説明しています。

データサイエンスのアプローチ

やってみないと誰にも判らない

AIに限ったことではないですが、従来から言われているビッグデータを分析し、ビジネス的な意味合いを見出す試みは、全てが実際にデータを集めて分析してみないと、どれほどのビジネス的な効果を導けるか誰にも判らないものだと言えます。

どんなに優秀なデータサイエンティストであっても、その大量なデータの中に何が眠っているのか、もしかしたら莫大な利益を生むダイヤモンドが埋まっている可能性もありますし、どんなに探しても、そこには何もない可能性すらあります。

 

PoCはやはり必要

最近よく耳にする単語にPOC(Proof of concept)と言う言葉があります。耳にされたことがある方も多いのではないかと思いますが、いわゆるコンセプト(≒仮説)をたてて、それを実際のデータに基づき検証していくアプローチのことをこう言っています。

 

なぜこのアプローチが必要かと言うと、ビッグデータと言われる程の大量なデータが手元にあったとしても、それをどの様な切り口で分析したら良いのか、試行錯誤するにもある程度見当を付けて、お宝が埋まっていそうなところから探していくしかないからです。

やみくもに、もしくは、しらみつぶしに探していくには、あまりにデータが多く、ハンドリングし難い何かが見つかる可能性が低いためその様なアプローチとなってきます。

 

仮設検証は経営戦略でも同じ

この考え方は従来から自然に行われていたアプローチで、戦略コンサルティングの世界では一番最初に初期仮説(=答え)を作成します。

それは、経営者や、その会社で実際に業務されている方からのヒアリングなどを基に立案しますが、外部のコンサルタントがどんなに優秀で、世界中の多くの会社の経営戦略に関与していたとしても、実際にその会社で働いていたり、経営している人以上にその会社のビジネス環境や、会社自体のことを理解しているはずがないのです。

外部の専門家は様々な外部情報同業他社事例などを持ってくる事は出来るのですが、自社内部の強み、弱みが違う以上、参考程度にしかなりません。競合と同じ戦略を採っても差別化にもなりません

同様にAIを自社に適用したり、ビッグデータを分析する場合も、POCを実施する際にも仮説(=コンセプト)をたてるわけですが、どんなに優秀で経験豊富なデータサイエンティスト、AIのエキスパートであっても、例えば製造方法販売ルート顧客や物流ルート技術的なアドバンテージなど、自社内部の状況は自社の社員・経営層が一番理解しているのは言うまでもない事です。

 

最近よく受けるご質問

「社長が急に、わが社もIoTやAIに取り組まなければ他社に後れをとる」、「もうAIの時代だ、わが社でもAIの活用検討を進めなさい」と突然言われ、困っている。全く知識もないし、わが社でAIを使って何が出来るでしょうか?

といったご質問です。言ったほうの社長もそのうち忘れて無かったことになるパターンもあるのではないかとは思いますが、この手の話をつき合いのある大手SIベンダーシステム会社のエンジニアにされ、話が更に複雑になってきます。

これらの大手SI会社は、システム会社特有の世界的な流れで、そこに市場が有りそうだ、となると、ほぼ全ての会社がそちらの方向に人員を振り向けます。最近であれば、FinTec、ビッグデータ、クラウドコンピューティングやAI、IoTなどのキーワードでしょうか。

その結果、何の前提知識も経験も持たないエンジニアが大量に新組織に人事異動させられ、勉強して付け焼刃の知識を身に付けます。社員は優秀なだけに、そこそこ技術的にはキャッチアップ出来てきます

そこで、先のような、相談をされると頑張って相談に乗ろうとするのですが、

あくまで技術者であってビジネスモデル、アイディアを考えるような方々ではないので、相談された会社の社内状況、ビジネス環境など知る由もなく興味もない

のであくまでシステムとして対応しようとします

結果的に中身がない魂が入っていないシステムが出来上がるか、闇雲に大量なデータの中を探し回り、無駄に時間を費やすだけの結果となると思います。

 

本当に必要な相談相手とは

ここで本当に必要な相談相手は、AIなどの技術や出来る事・出来ない事を理解し、使いこなすせる(最先端の研究が出来る、ではない)、相談相手のビジネスを深く理解し、共感し、ビジネスを考えることが出来るコンサルタントなのだと思います。

それも、短期で何かの結果が見つかる保証も無ければ、答えがあるかも判らないのが現実ですので、出来れば、自社内にプロジェクト体制、組織を構築し、長期戦、もしくは常に様々な社内の戦略・ビジネスプロセスを検討・最適化を進める必要があると考えられます。

IoT・AI社会に欠落している人材・スキル

 

この辺りに、現在のAI・IoTやビッグデータを分析するデータサイエンスなどの新しい技術・考え方を立ち上げていく場合の問題点があるように思います。

業界地図、環境、ひいては事業会社の内部組織や評価なども合わせて考え直す方向の解決の道しか無さそうです。

 

丸投げシステム開発は通用しない

これまで多くの日本企業のIT部門は外部のITベンダーに丸投げ発注し、自社で必要な業務要件すらまとめられない状況でした。しかし、上記のようにデータサイエンスやAIを実装しようとした場合、そのデータに何が埋まっているのか、投資効果を出せるのかがやってみないと判らないものです。

丸投げが出来ないのです。自社でビジネス仮説をたてて、その検証をデータに基づき進め、ある程度目途がついてからでないと確定発注は出来ないと思います。

 

その様な結果が出せるか判らないシステムを受注する側も受けられないでしょうし、そもそも、何を発注したのかすら双方判らない状態です。外部の人間に依頼するとすれば、データ整理やAIの知見位でしょう。

 

やはり、AIの知見や実装経験がありビジネス的な仮説検証プロセスを繰り返す事が出来るコンサルタントに、少なくとも当初のコンセプト策定・検証までは依頼する位しか無さそうです。

 

 

 

 

 

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