RPAやAIによる付加価値を付けたERPへ

欧米流のベストプラクティスを真似る事で業務を最適化できるとしたERPの導入もそろそろ一巡し、真似るだけではダメだと、そろそろ日本企業も気付きだしました。

全てを画面から手入力する欧米流のERPは日本には向かない事が見えてきており、日本企業に適した日本流のERP導入を始める為のAIやRPA等の要素技術が揃ってきていますので、その辺りをご紹介しています。

ERP導入も一巡

欧米流のベストプラクティス

大企業を中心にERPの導入もそろそろ一巡してきたようで、最近は機能追加・改修バージョンアップが中心で、SAPやOracleなどの大企業向けERPパッケージのベンダーでも中堅以下の企業へのアプローチを強化しています。

また、大企業の中には初期導入時に大量に追加開発をしてしまい、アップグレード出来ずに困ったあげく、保守切れを機に別パッケージで導入し直す会社も増えているようです。

日本でのERP導入が本格的に始まったころは欧米の業務のやり方が実装され、容易に変更出来ない構造となっているSAPの業務プロセスをベストプラクティスなどと言い、これに現状業務を合わせ込むことが業務効率化に繋がると言われていました。

 

真似るだけでは効率化できない

日本は強い製造業により生産された自動車などの安く高品質な工業製品を輸出する加工貿易で成り立ってきました。しかし、1990年代からそれが機能しなくなり、失われた10年が20年になり、もうすぐ失われた30年になろうとしています

自信を失いベストプラクティスと言いつつ欧米をまねることで業務を効率化する手段としてのERPがはまったのだと思います。

しかし、そもそも現場主義現場が強い日本では欧米流のトップダウン経営が通用せず、現場任せ、現場の意見を反映したERP導入の結果として大量のアドオン開発が発生していました

経営スタイル、雇用慣行などを含めた社会構造が違うのですから、ERPの業務をそのまま当てはめようとしてもなかなかうまくいかないのも当然です。

ERPとは、そもそも何を目的としたシステムか

日本的なERP導入とは

私はむしろ、日本には日本のやり方で目標・目的を達成できれば、欧米の業務をそのままマネする必要もないのではないか、と思っています。

ご存知の通り、ERPとは下記のような目的のシステムです。

ERPは会計システムで、購買や販売、製造などの主に自社と社外との商取引で発生した金銭・物のやり取りを会計転記していき、物の動きと会社の会計帳簿を常に連動させていくことで、常に会社の財務状況を把握できるようにする為のシステム

 

日本は従来から現場が強かったため、現場の改善活動による最適化、効率化がなされてきました。全体最適などと言ってERPを導入さえすれば会社全体がバランスの取れた形で最適化されるような説明をする人がいますが、まず有り得ません。

なぜなら、ERPはトランザクションシステムだからです。これは、中央にあるDB(データベース)に対して、購買発注・入庫・請求書照合・支払いなど一連の取引が整合した形でDBに転記されますが、その一連の取引単位で完結して終了しています。

よって、次の日の取引はまた別もの扱いなのですから、取引間、全体のバランスを取る機能・考え方ではありません。正しくは、これが正解だと思います。

物の動きと会計帳簿が連動しているため、整合性が担保された状態を常に維持できる。結果的にその時点の財務状況を俯瞰して見る事が出来るようになるため、全体のバランスを取る意思決定がし易くなる

 

このことは非常に重要で、ERPを導入する価値はあると思いますが、従来から言われているような欧米のベストプラクティスが詰め込まれたERPを業務に無理やり当てはめれば良いと言うものでは有りません。むしろ、効率化された日本の現場業務が正しく会計転記されれば良いのです。

 

欧米の会社と日本企業の違い

アメリカやドイツなどでは、現場業務は作業指示に基づいて忠実に実行されるべきものであり、現場の人間には基本的に考える余地はなく、求められもしません。

あるのは単に作業者としてその時間勤務し、指示通りの作業をするのみなのです。ですから、現場の手作業をわざわざお金を掛けて楽にする必要もなく、ERPの基本は殆どが画面からの手入力となっています。

しかし、日本の現場は自ら考え、改善提案をして効率化する機能を持っています。そして、これまで現場が最適化・効率化した現場作業がそこにあるにも関わらず、ベストプラクティスの名の下にERPの手入力の世界に戻そうとしていたのです。

上手く入らなくて当然です。現場はそれが非効率だとよく知っていますし、これまでの効率化の成果として人員も既に減らされた状態です。今更全て手入力しろと言われても出来るはずも有りません。

RPAがERP導入を加速する

 

 

AIやRPAにより自動化・効率化したERP導入へ

この様に、単に欧米のベストプラクティスを真似るのではなく、そろそろ日本流のERPの使い方、導入方法論を確立する必要があります。それは、

現在の現場業務が自動化・効率化された状態の結果のみをERPに自動入力する仕組み

 

私はようやく最近になって解決策の光が見えてきたような気がしています。RPAには将来、AIが組み込まれる事でより柔軟に例外処理などを行えるようになっていきそうですし、同様にERPも持っているデータをAI機械学習に活用してより付加価値を付けたツールになっていくものと思っています。

 

それは、下記のような最新のテクノロジ―を活用し、あたかも人が手入力しているようにERPに入力してあげる仕組みであり、ERPが不得意としている将来の予測や、最適化の機能を付加したERP導入です。

 

RPAによる自動化

近い将来には、ERP自体にRPAのような周辺システムとの連携を自動化する機能が付加されるものと思われます。そして、ERPも他のシステムと同様にクラウド化が進んでいる現状もあり、定期的な再テストが避けられそうにありません

特にパブリッククラウド環境にERPを実装すると、プログラム自体を他社と共有している状態となります。よって、ベンダー側としては顧客が個別開発した全てのプログラムを保有し、バグ修正や機能開発を進めていく事は開発工数が無限大に発散してしまうため、期限を切って自動的にバージョンアップをしてきます。

この事はユーザー側から見た場合、追加開発した機能を含めて、毎月、3ヶ月毎などの定期的に導入時に実施したシナリオテストの再現テストを行う必要に迫られる事になってしまいます。

定期的にプロジェクト体制を組んで導入時と同じテストを行う事など不可能に近く、やはり再現テスト自体を自動化していく事になるかと思います。

 

IoT化によるシステム的なデータ連携

特にプロセス系の製造業では、製造ラインの機器と直接、もしくはMES等のシステムを通してERPにデータを連携する考え方がありました。

ここにきて、IoT化の流れがあり、ようやくこれらの制御系システムの世界とERP等のビジネス系システムがインターネットを介してデータ連携出来る環境が整ってきたと言えます。

そこには、工場の制御系と、一般のビジネス系システムをつなぐ適切なIoTゲートウエイ機器が必要になり、その辺りが解るエンジニアが不足している現状もありそうです。

 

AI機械学習による予測・オペレーション提案

ERPには購買や販売、物流、会計など多くの取引データが日々蓄積されています。これらのデータは正に宝の山なのですが、殆どの会社ではERPを実装するところまでで力尽きてしまい、費用も枯渇してしまいます。

非常にもったいないことであり、従来から言われているBIによるレポーティングに留まらず、それらのデータをAIの学習用に使い、様々な予測や先回りしたオペレーション提案などが出来るようになるのではないかと思います。

 

 

 

 

 

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