ERPに持ってはいけない情報

ERPの考え方、パッケージソフトウエアが普及し出して既に30年以上ですが、日本企業では今だに物流機能のみ、会計機能のみ導入する例が多くみられます。これでは、ERPの本当のメリットを生かせないばかりか、非常に使いづらいものになってしまいます

ERPの本質

ERPはあくまで会計システム

言うまでもないことですが、ERPは会計システムです。よく、在庫・購買、販売、生産機能などのみを導入する会社がありますが、はっきり言ってこれは間違いです。

これらのロジスティクス機能だけであれば、個別の生産管理システム等を導入したほうが柔軟にいろいろな事が出来て良いと思います。

製造業でなくても、商社や金融、サービス業であっても、ERPは会社でのこれらのビジネス上の取引を入力し、自動仕訳と言われる機能で同時に会計仕訳を裏で転記していく仕組みだからです。

物やサービスの取引のみを入力しても、そのうまみである、会計転記の部分を使用しないのでは意味がありません

 

日本では特に、在庫・購買、販売、生産などの機能と会計部分に別のERPパッケージを導入される会社も多くありますが、これも基本的には間違いです。

裏で仕訳を会計ERPにインターフェースしなければリアルタイムにならないからです。同様に会計部分のみを使うのも基本的にはERPを使うメリットは乏しいでしょう。

ましてや、一部の仕訳は月次での連携だったりしますので、次月の会計締め作業が済まなければ自社の財務状況を把握できないのですから、ERPの利点でよく言われるリアルタイム性が全く生きてきません。

 

会計は過去に起きた事をありのままに会計記帳する必要がある

会計は国で決められたルール通りに記帳し、基本的には全ての法人が税務報告し、公告と言われる公に一年間行ったビジネスの結果を報告する必要があります。

解釈の違いは有ったとしても、基本的には都合が悪いからと言って実態とは違ったBS(バランスシート)やPL(プロフィット&ロスステートメント)などを報告することは許されないのです。

ですから、ERPは基本的に一度入力したデータを単に削除することはシステム的にできないようになっています。

仮に間違い等で取り消したい場合は、逆仕訳と言われる、貸借を逆にしたデータを入れて、金額を相殺し、どの様に修正したかも記録が残る仕組みになっています。

余談になりますが、昔は、会計帳簿の背表紙ではない内側に色が付けられた会計帳簿に記帳し、ページを抜くと判るようになっていて誤魔化しが出来ないようになっていました。

これをシステム化したのがERPだと思えば、単にデータを削除出来ない仕組みも理解出来ます。

 

 

ERPで扱ってはいけない情報

当然ですが、少なくとも現時点ではタイムマシーンに乗って過去に行ける訳ではないので、過去に起きたことはどんなに不都合なことでも変えることは出来ません

出来るとすれば、その解釈を変える位でしょうか。何れにしても事実は一つですから、一旦記帳したことは無かったことにするのではなく、その修正過程も含めて記録を残すのが会計の考え方なのです。

 

ERPには過去の固まった情報のみ入れる

ERPはこのような考え方をする会計システムですから、一旦入力したデータは決して削除できません。

言い方を変えると、

ERPは過去に起きた「固い情報」のみを入れる仕組みです。

 

一方、多くの情報系のシステムはそうではないので、よくユーザーの方に、「このデータ消しといてよ」と頼まれ、情報システム部門の方が単なるデータとして削除したりします。

それは、取引に近いCRMの案件情報やリードなどであっても、取引が成立するまでは不確実なデータであり、会計的に転記する必要があるような「固い」情報ではないからなのです。

日本であえれば、顧客が契約書に押印した注文書・契約書を受け取るまでは、まるで最初から無かったことと同じになってしまう可能性があります。

その情報は、後から見直し、なぜ失注したのか分析したりするのには必要な情報ですから、通常は削除しないと思いますが、あくまで会計的には不要なデータです。

その顧客情報も、実取引が成立していない以上ERPに入れる意味はありません。あくまでERPの顧客マスターは、その会社に対して製品を出荷したり、代金を受け取る為に入れるものです。

 

CRMの顧客情報はそのまま入れられない

よく、CRMとERPの連携の話をしていると、CRMの顧客マスターをERPに連携して欲しい、と言われることがありますが、ERPに一旦顧客マスターを入力し、何かの取引を入力すると、その顧客マスターデータは削除できなくなります

過去に登録されたトランザクションデータがそのマスターを参照しているため、顧客マスターを削除すると参照できなくなってしまうからです。

このようにERPには過去に起きた事柄のみを入力すべきです。

 

在庫数量だけをERPで管理は出来ない

単に在庫の数量だけERPに入力し管理しようとするご相談が時々ありますが、単位情報として在庫の数を管理したいのであればそれはデータベースで情報系の仕組みを構築するか、在庫管理システムを使うべきです。

下手にERPをこのような使い方に使用すると、裏に会計仕訳が紐づいているだけに、簡単にデータ修正が出来ず、数量を増減するにも入出庫や棚卸のトランザクションを動かす必要が出てきます

極めて使いづらいものとなることは明らかです。ERPは裏に会計データが紐づいているため、数量だけを修正することが出来ないのです。

RPAやAIによる付加価値を付けたERP

 

 

 

 

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