AIを実業務、特に工場の自動化・近代化をしようとしても現状では様々な課題があります。AI社会はそぐそこまで来ており、技術の発展に伴う進化はもう止める事が出来ません。流れに取り残されることの無いように社会全体でそれらの課題をどう解決していくかを考える必要があります。
こちらでは、その辺りの考え方をご説明しています。
今進んでいるAIの応用事例
最近多くのメディアで取り上げられ、AIと言う言葉を聞かない日がない位ですが、その実応用の多くはチャットBOTの応答を機械学習した保険会社の事例や、顔認証で行楽地、プール、コンサートなどのお客の満足度を数値化するような事例が殆どのようです。
もしくは、よく報道されるのは20XX年までに自動運転車を実用化する、と言った進行中のAI応用でしょうか。画像認識で早期に癌組織を発見していく取り組みなど、それはそれで非常に重要なテーマであると思いますが、日本はなんと言っても製造業が元気を取り戻さないといけないと思います。
特に、日本の製造業でAIを実応用し今後進展する少子高齢化や労働力不足を補い製造業の競争力を維持、促進すべき
と私は考えています。
また、最近は人件費の安い東南アジアの国々に進出した工場の国内回帰は多少起こっているようですが、これらの安い労働力を前提とした工場の海外展開は、AIが代替することで逆に国内生産に優位性が戻る、もしくは本来の消費地・需要地立地(原料立地もありますが)に修練するはずと考えられます。
工場のAI適用・自動化が進まない理由
◆ AIとはどの様なもか理解されていない
そもそも、AIとはどんなもので、何が出来て何が出来ないか、向いていること向かないことを理解出来ておらず、AIという言葉自体がぼんやりイメージでとらえられている。
コグニティブと言われる、認識のイメージが強いため、製造業では関係なさそうだとと思われてしまう。
◆ 自社の生産ラインを熟知している必要がある
組立系の生産ラインではやはり労働集約的な多品種少量生産が主流で機械化が難しい部分があります。
手作業による組立ラインが多いため、オペレータ行動分析に基づくライン割り付け、生産スケジューリング、シフト調整など、もしくは部品などの生産計画、発注・納入日程計画などが中心となり、自社の生産ラインを熟知し、問題意識が高い人間の改善活動的な部分となる。
◆ 町工場の設備はIoT・AI化し難い
数人の町工場で金属加工をやっているような工場で使っている設備はNC(数値制御)装置であり、現在のままでAIを組み込むには無理があり、NC装置の工具の摩耗状況や、生産順、部材計画などが中心となる。
◆ プロセス工場の制御系とAIを理解している人間が少ない
食品、ガラス、鉄鋼、非鉄金属など多くのプロセス系の工場では単体のプロセス機器全体をPLC(シーケンサー)でコントロールすることが多いが、ビジネス系のシステムとは毛色が違い、これらの制御系システムを理解し、同時にビジネス系のシステム、AIなどを理解している人間が極めて少ない。
◆ 現在AIに取り組んでいる人達の工場現場への興味・理解が浅い
現在、AIに取り組んでいる人たちの層が、AIの先端研究者、大手ITベンダーなどであり、工場の製造現場やビジネスそのものへの興味・理解が浅い。
◆ 統計学に精通した人間が少ない
そもそもAIをシステム実装するには、統計学的な部分が多分に残り、大手IT企業にも数学に強く、製造現場にも精通している人間が極めて少ない。
◆ 見積し難い
大手Si企業に依頼しAIをシステム実装するため、結果が出るか判らないにも拘わらず、高額の実装費用となってしまうことが多い。
POC(プルーフ・オブ・コンセプト)と言われる発想したアイデア・コンセプトを検証して初めて効果が出そうか判るが、その期間に多くの手間、工数が掛かるわりに費用を算定しにくい。
効果が出そうか判った後にシステム実装の見積もりをITベンダーに依頼すると高額な見積りがきたり、逆にITベンダーとしては殆どシステム開発が無く、ビジネス的に成立しないようなことが起こる。
◆ 社内にAIのナレッジがない
特に日本では使う側のメーカーの社内にデータ分析や、AIなどに関する知識や進められる組織体制やナレッジなどがない。
◆ 最初から結果が出るか誰にも判らない
AI活用を含むデータサイエンスは仮説に基づく試行を繰り返すことが前提であり、やる前から確実に結果が出ると言えるものではない。
◆ AIの実装にプログラミングのスキルが必要
AIの実装がコンピュータプログラミングによるものが多く、アイディアがあっても簡単に試すことが難しく一定以上の期間を要すため、自社内では出来ない(と思われている)
まとめ
実際にはもっといろいろな課題が有りそうですが、これらの課題に対して既存の組織、アプローチでは解決出来そうになく、時間と費用を掛けたわりに何も得られなかったと言う説が定着することにならないようにしたいと考えています。
AI ・ IoT時代は 組織、評価・報酬体系から見直す必要がある
本来あるべき、各事業会社内に持つべきデータ分析に基づくAI活用などを地道に継続できる組織機能を持ち、戦略に繋げられるように、気軽に取り組みを始められて、定額でAIの専門的な知識、経験、事例を提供していく必要があると考えています。