RPA・AIプロジェクト成功事例の失敗

インターネットで事例を一生懸命調べたり、ベンダーに事例を聞いて廻るのが趣味ではないかと思える方をよく見かけます。この様な人を見ていると、なかなか自社と同様の状況にあてはまる事例が見つからず、そこから前に進めなくなってしまうようです。

「成功事例の失敗」と言う言葉があるように、最初はある程度そのソリューションの考え方・ツール等のイメージを持つために事例を参考にするのは良いかと思いますが、各社で社内事情やビジネス環境は様々であり、そのまま当てはまる事例などあるはずはないのです。

1社1様で自社の状況を考え、先に踏み出すことでその先にあった課題がやっと見えてくるものでもあります。ここではその辺りのご説明をしています。

事例コレクター

RPAがもてはやされるのは日本特有

RPAソフトウエア自体はUiPathイギリスやアメリカのAutomationAnywher、イスラエルのNICE等の海外性のものが多くあり、似たような問題は海外にもあるのだとは思います。しかしRPAがここまで話題になるのは日本特有の問題が大きいのです。それは、

  • 政府の肝入りで「働き方改革」が叫ばれている
  • 諸外国に比べて日本企業のホワイトカラーの労働生産性が著しく低い
  • 少子高齢化で人手不足、人口減少社会

など、先進国に共通する問題もありますが、国際競争を生き抜く為には、日本企業はこれらの課題に本気で取り組まざるを得ないところまできているのです。

海外事例は役に立たない

特に外資系のITコンサルティング会社日系SIでも海外のIT会社を最近買収したような大手SIは、AI機械学習を使った海外事例をいかにも自社にノウハウがあるように持て来る事がよくあります。

しかし、その様な事例は雑誌やホームページで探せば公表されているような事例であり、特段目新しいものは然程ありませんし、何よりも重要なのが、

ノウハウは会社や文書にはならない。実際に苦労した経験のある人に本当のノウハウは帰属する

と言う点です。IT業界は常に人材不足でエンジニアの流動性も高いため、本当にその事例プロジェクトを経験した人間から話を聞けたりプロジェクトに参加してもらえない限り海外事例はほぼ無意味です。その辺りはこちらで具体的にご紹介しています。 ⇒

海外事例ばかり持ってくるIT会社は危険

社内事情は各社で異なる

もっとも扱っている製品やサービスが違い、既存の基幹システム等や人員など多くの要素が違う以上、「事例はあくまで事例」と考え、その事例のままそっくり真似てAIやRPA等を適用する事は出来ないのです。

仮に事例のままそっくり真似て出来たとしても、それまでの取引データなどが全く同じと言う事は有り得ませんので、AI・機械学習であれば同じような精度が出るはずもありませんし、恐らく学習データを集める事すらできないでしょう。やはり、

RPAやAI機械学習は早期に自社で取り組みをはじめ、ノウハウを蓄積していくしかない。

 

成功事例ばかりを収集しても意味がない

弊社もこちらに事例をご紹介しています。 ⇒

 

しかし、この様にHPに書けるのは何処の会社でも有りそうな業務で、ある程度会社の仕事を理解していれば判るような内容のはずです。もしくは、会社名や扱っている製品・サービスなどを公表している事例では、肝心な部分が隠されています

それらはやはり、自社が苦労して獲得したノウハウであり、特に本業に関わる部分は競合他社に教えるはずもなく、RPAやAIなどの適用に関して自社で試行錯誤、研究していくしかないのです。

いつまでも公表されているはずがない、自社そっくりな業務の競争優位に働くRPA・AI活用事例を探すのではなく、先ずは初めてみることです。

事例コレクターはそこから前に進めず、成功事例にとらわれ過ぎて失敗する

 

競合の真似をしても優位性はない

肝心な部分は隠されている

経営戦略や、ここではRPA・AIの活用に関しても本当に競争優位に働く施策や事例に関して、その肝の部分は公表しないのが基本です。同業他社が見れば理解できるレベルの肝心な数値などは隠してあり、公表さているのはどんな事をやっているかと言う程度です。

本業の品質原価低減につながるような部分、もしくは新規技術開発に関連するような部分は公表しないのが当然です。折角苦労して獲得した技術や経験ですから、極力長く競争優位に働くようにするものです。

その意味で、間接部門の業務オペレーションなどでRPAやAIによって効率化できるような部分があれば公表するのかも知れません。しかし、この様な間接業務はどの様な業種・業態の会社でもほぼ同じなのですから、むしろ標準化されて提供されるべきでしょうし、真似る必要もないのかも知れません。

 

公共サービス等は話が違う

逆に役所などの公共サービスは、利益を追求している訳ではありませんし、どこの自治体でもほぼ同様の業務だと思われますので、むしろ成功事例を定型化する事で効率化すべきだと思います。

RPAやAIを上手く活用して公共サービスを安く提供できれば住民としては有り難いことでしようし、今後想定される人口減少社会地方の過疎化自治体消滅など多くの問題の答えになるかも知れません。

 

答えは社内にある

AI導入には時間を要する

顔認証等のコグニティブと言われる、ベンダー側が学習済のAIモデルを提供しているような定型的な使い方を除いて、いちからAIのモデルを構築し、学習させていく通常のAIの使い方をしようとすると、ゆうに半年以上の期間を通常は要します

その意味でも、近い将来AIやRPA等の自動化ロボット技術を使わなければ競合に対して優位になれなくなる事は明らかなのですから、今から社内の体制を整え、目標を定めてデータ整備・収集を始めていく必要があります。

今から始めたとしても既に競合他社に遅れをとっている可能性が高い事を認識すべき

 

データ戦略部門立上げ

 

AI学習に使えるデータが手元にない

殆どの会社において、AIに学習させるのに十分な手持ちのデータがある会社を見たことがありませんし、手持ちデータ自体は有っても肝心なデータが不足していたり、データ間の因果関係が整理出来ていなかったり、時間軸がずれていたりする事が殆どです。

やはり目的を持って関係を整理し、必要な間隔・精度で収集したデータでないとAI機械学習には使えない

 

 

先ずは初めて見ることが重要

AIやIoT、RPA等は新しい技術、考え方でもあり、先を完全に見通せている人は誰もいないと言えます。やってみて初めて解る事も多いため、先ずは初めて見る事が重要なのだと思います。

 

先行事例を探すあまり、似通った事例を見つけてから自社内のデータ収集・分析を始めたにでは明らかに手遅れになってしまいます。

事例の収集に時間を掛けるよりも、先ずは初めてみることが重要。やってみないと分からない事も多い

 

AIは最初から結果を出せるか誰にも判らない

 

 

 

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