AIに学習させるには、当初から目的に繋がる論理・因果関係を明確に整理し、計画的にデータ収集していく必要があります。何となく貯めてきているデータだけでは使えない場合が殆どです。それは自社ビジネスそのものの理解であり、IoT的な収集には時間を要しますので、たった今から活動を始めても既に競合に対して遅れをとっている可能性が高いと考えるべきです。
最近気付いた事
私は様々な企業からAIに関する相談を受けて最近感じていることがあります。それは、
AIを自社の業務に活用する取組みを始めようとしても、殆どの会社には十分なデータが無い
と言うことです。
データそのものが無いと言うことではありません。むしろ何処の会社にもデータは沢山ありますが、無いのは、AIに学習させるのに必要なデータが十分ないのです。
必要な情報の一部が紙に手書きされている状態や、歯抜けになっていたりします。最近話題のディープラーニングを使うには通常のAI機械学習より遥かに多くのデータを必要とします。
または、データは有ってもデータとデータのタイミングが揃っていなかったり、そのデータが取得されたタイミングが残っていなかったりするような場合も多々あります。このロットを製造した時の、同じタイミングの周辺データでなければ意味がありません。
AIにはデータから計画的に取得する必要がある
何より、当初からAIに学習させる為に計画的に情報を残していないため、十分に説明変数となるデータが揃わないのは無理もないことです。
データの因果関係を理解・整理する
仮に、自社の製造現場にAIを適用しようと考えた場合、因果関係が明確になっている情報以外に、より広範囲な情報が必要になる可能性があります。
それも、やみくもにデータを残していけば良いと言うものでは無く、明確な目的を持って、その目的に沿った、目的・目標との因果関係を明確に説明できるようになっていなければ意味が有りません。
自社のビジネスに精通している必要がある
現場で働いている社員の皆が、なんとなく肌で感じている関係性があります。
- ここの値が高いと早めに処理が終わる
- 春になり、気温が上がってくると時々このような現象があり、その時はこうすれば直る
- 2週間に一回位はこの現象がある
など現場で働いている方々にとっては当然のことで、その場合にどう対処すれば良いかも経験的に判っています。しかし、たいがいの場合説明出来ないのです。
「それではここの値だけ見ていれば良いんですね?」と質問すると、いや、それだけではないとなります。やはり、因果関係が本人達も明確になっていないのです。
AI機械学習と言っても、その実装はシステム的にソフトウエアで実装しますから、やはりロジックなのです。ロジックが明確になっていて、その必要な入力(=学習データ)が揃っていて初めて所望の成果を生み出す事が出来ます。
今すぐに始めても既に後れをとっている可能性が高い
ディープラーニングは大量のデータを必要とする
ディープラーニングを活用するには大量のデータが必要となります。最近は少ない画像で済むテクニックが開発されてはいますが、画像データであれば、あり得る様々な場合・状況を含んだ6,000枚以上は必要となる場合が多いかと思います。
季節性がある場合は、基本的にその既設毎に違った状況のデータを用いて学習させることになります。追加データを与えながら徐々に賢くなっていく事は可能ですが、どの時点から実運用に入るかが難しくなってしまうでしょう。
まだAIが学習中だから品質が悪いです。まだAIが学習中だから納期が守れませんでした、など、実ビジネスで通用するはずも有りません。やはり、
AIに学習させることを前提に、因果関係を整理し、必要なデータを計画的に収集していく
これしかないのです。世の中の多くの企業がAIロボットを活用し、ビジネス効率を飛躍的に向上させている現実が見えてから情報の因果関係を整理し、データ収集を始めても、そこから1年後に実現できるかも解らないでしょう。
今すぐ始めても既に遅い可能性が高いと思います。必要なデータを取得するにはIoT的な対応が必要な場合も多いと思われますし、少なくとも、自社ビジネスに関する内部知見を論理的に整理し、可能性を探っていく動きが早期に必要です。
AI機械学習は自社業務そのもの
AIはこれまでのITシステム開発のように、外部のIT会社に丸投げでは出来ない可能性が高いと思われます。なぜなら、それは、自社ビジネスそのものだからです。
システム的な実装は確かにITですが、その前段が重要であり、自社業務の理解・論理因果の整理は到底外部に丸投げでは無理でしょう。
仮にそこを外部に依存してしまったら、それこそ自社のコア業務そのものを外部に握られてしまう事であり、経営自体を放棄したに近いのではないでしょうか。