海外事例ばかり持ってくるIT会社は危険

海外事例を持ってくる会社

海外事例の殆どは参考にならない

特に外資系のシステムコンサルティング会社に多いのですが、何か類似の事例があるかと質問すると、海外、特にアメリカでの先進事例をパワーポイント1枚程度のサマリーで持ってきます。

これはこれで嘘ではないのですが、本当に求めているのは今お願いしようとしているシステムやコンサルティングの内容に近い事をやったメンバーにお願いしたい、もしくは、実際にプロジェクトをやった時の生声、苦労話やポイントを聞きたいと言うことなのです。

同じグループ会社かも知れませんが、どこかの海外で誰か知らない外人がやった事例では、環境も違いますし役にたたないのです。

 

コンサルタントの知見は個人に蓄積する

海外で実際にそのプロジェクトをやったPMを日本に来てもらって参加してもらえるか、困った時にいつでも質問出来る関係が出来ている状況でなければ意味はありません。コンサルタントはあくまで人ベースであって、基本的にコンサルティングの知見は個人にしか蓄積しません。

 

私の経験では、海外のそのような事例はグループのナレッジシェアーとしてサマリーを参照できる状態になっているだけのことが多いと思います。

 

コンサル業界は人材の流動性が非常に高い

誰がそのプロジェクトを実施したのか、所属や名前も判るようになっています。しかし、この業界は非常に人材の流動性が高く、通常2,3年で辞めていきますので、連絡しても既に退職していて反応がないか、日本での背景などを英語で説明しても理解してもらえず、素っ気ない反応です。

そもそも、実際にそのプロジェクトを実施したコンサルタントにとって、日本のそのような案件に協力するインセンティブは全くないですし、日本特有の商習慣などの背景もあり、なかなか理解し難いのです。

そのような海外事例は、単なるセールトークの一部位に見ておくのが無難かと思います。

 

本当の意味でグローバル・オペレーションが出来ている会社は少ない

日本のIT会社で近年急に海外展開した会社が結構多いように思います。その様な会社の海外事例は正にそれで、単に買収した海外子会社で実施したことがある程度なのです。

人的な交流も殆ど無ければ、プロジェクトの内容、困ったことなどを十分共有出来ている会社を私は見たことが有りません。

むしろ外資系企業の日本展開や、その逆の日本企業の海外展開の仕事を獲得する為の投資くらいの意味なのです。

特に、日本企業はグローバル標準の経営、ガバナンスの仕組みが出来ていなかったりして、買収した海外企業を生かすのがあまり上手くないと思います。

よって、本当は買収した企業のナレッジや技術、人をうまく日本に持ってくることが出来れば営業的にも大きな成果が得られそうなのに、島国で生きてきた日本人にはハードルが高いのでしょう。

 

 

先進事例は自分の納得のいくところまで調べる

コンサルティング会社の一種に○○総研、と言う名称がついた会社が結構あります。これは現在のように個人が簡単に海外や、個別企業の情報を入手出来なかった時代に調査業務を主としていたコンサルティング会社です。

直接、その会社にヒアリングに行ったりもしますので、全く同じことを個人が出来る訳ではありませんが、現在では、インターネットで入手できる情報を整理し、レポートしたものと殆ど内容は変わらなくなってきています。

やはり、自分で納得のいくところまでインターネットなどを駆使して調べるのが良さそうです。今は、地球の裏側での先進的な事例などでもインターネットで調べられますし、言語の問題もGoogle翻訳が解決してくれます。

ひと昔前までは、営業マンに来てもらってその会社の製品・サービスなどの説明を聞き、情報収集していました。しかし、今では各社がホームページである程度の情報は公開していますし、競合優位と思っている先進事例などの説明はしてあるはずです。

新しい情報を持っていない営業に会う必要性が殆ど無くなってきています。逆にバイアスの掛かった情報、視点により最適な判断が出来なくなる可能性が高いと思われます。

ある程度、インターネットなどを使って自分で調べた情報を元にニュートラルに比較・判断し、更に個別の製品・サービスについての情報が必要になった時点で営業マンと話すのが良いような気がします。その時点ではほぼその会社に決めているのですが。

 

 

 

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