WinActorに限った話ではありませんが、結局それは何に対する対価なのだろう、価格はどの様に決まるのかなど、ここではソフトウエアの価格について考えてみました。
WinActor ライセンスとは
そもそも、ソフトウエアを購入するとはどの様なことでしょうか?
ソフトウエアライセンスとは
ソフトウエアの課金形態にもいろいろなタイプがありますが、WinActorの場合にユーザが購入しているのは
ソフトウエア機能を1年間使用する権利
です。ユーザはWinActorのソフト自体が欲しいわけではなく、それを使って業務を自動化・効率化したいのであり、「ソフトの所有権を欲しい」とか「そのソースコードを入手して改変したい」などと思っているわけではありません。
「使えればいい」ということであり、ひと昔前までは秋葉原のパソコンショップなどにパッケージソフトの箱を購入しに行っていましたが、今ではPCを購入すると最初からアプリの圧縮イメージが入っていて購入手続きし、ライセンスIDを入手すれば直ぐに使えるようになるオフィスソフトも多くあります。
もしくは家電量販店でライセンスIDが書かれたカードを1枚購入し、PCにセットするだけでそのソフトウエアが使えるようになるものも多くあります。(Appleの影響でしょうか)操作マニュアルなども全く付属せず、触ってみて解らなければGoogleで調べるか、本屋で書籍を購入するか、といった感じです。
すっかり様変わりしてしまい、(今も無くなった訳ではありませんが)昔のあの箱は何だったんだろう、とつくづく思います。昔私が勤めていた会社では、何かを購入する場合にソフト等の形が無いものを買い難かったのも思い出します。
何を購入したのか、納入物の証跡を残す意味であの箱が有ったのだと思いますが、今ではオンラインで契約し、コーポレートカード決済するだけであったり、クラウド機能を使った分だけ従量課金請求なども普通になっています。
どこから購入するかで品質が変わるものではない
当然ですが、ソフトウエアは単なるプログラム(を実行イメージにした)データのコピーです。
◆ ソフトコピーは品質がバラつくことはない
何回コピーしても、基本的には同じものになりますし、コピー回数によって原価が上がるようなものではありません。ソフトウエアの原価は開発費用の積み上げと販管費のみと言っても過言ではありません。
◆ 原価は売れる本数に依存しない
在庫も無ければ、原材料の仕入れなどの販売数量に比例して掛かる費用もありませんので、価格は基本的に市場価格です。私が昔勤めていたソフトウエア会社の製品は上記のパッケージソフトと同じ程度の大きさの箱にCD-ROMが20枚程度入って数億~十数億程度で売っていましたが、どう考えてもその箱がそんなにするはずはありません。
1本しか売れなくても、100万本売れても原価は殆ど同じなのがソフトウエアです。無論、販管費は販売規模に応じてある程度増加しますが本数に比例して増えるはずはなく、開発費さえ回収できれば販売価格はいくらでも良いのです。
◆ ソフト自体はダウンロード
一昔前の様にソフトウエアをCD-ROMなどに焼いて提供する形態も減ってきています。PCを購入してもOS(基本ソフト)のバックアップCDすら付属してこないようになってしまいました。
経済効率や何処に住んでいても契約さえすれば直ぐに使える利便性などを考えると、今後益々ソフトはダウンロード購入する形になっていくのだと思います。
◆ WinActorのライセンス保守はNTT
この点も皆さんご存知ない方が多いようですが、何処の代理店から購入したとしてもWinActorのライセンスには1年間のNTTのライセンス保守サービスが付帯しています。
細々した実際の使い方まで教えてくれる訳ではありませんが、購入したライセンスに何か問題があればNTT-DATAに聞くことが出来ます。
世の中の流れはオンライン契約が主流に
マイクロソフトやGoogle、Appleなどのアメリカの大手IT企業からしてオンラインでライセンス購入し、ソフトはダウンロードするか、そもそもPCには何もインストールせずにクラウドの機能を使う形態になってきています。
特にWinActorを既に使っていて使い方も判っているような方の場合、「単にライセンスを購入したいだけ」ですから、営業に連絡して見積りをとって注文書を発行する、と言った事が手間だと思いませんか?
営業に連絡すると、大して新しい有意義な情報も持っていない「しつこい」営業が来てしまい、時間をとられてしまいます。一昔前までは、特に製品情報を得る為にベンダーの営業と会っていましたが、現在ではインターネットで検索すれば殆どの製品情報は得られますし、ベンダーの営業も同じようにインターネットで情報検索しているだけですので、それ以上の情報は持っていないのです。
購入したからには直ぐに使いたい
これが人情だと思います。子供が新しいおもちゃを買ってもらうと、家に帰りつくまで待てずに途中で箱を開けてしまったりすると思いますが、大人でも一緒です。
意思決定するまでにどんなに長時間を使ったとしても、購入すると決めたからには冷めない内にすぐ使いたいと思うのが普通です。
WinActorのライセンス価格をシンプルにしてみました
上記のような様々な点を考えて、WinActorのライセンスを購入する場合にあてはめ、余計な販管費をそぎ落とすことでシンプルにしてみました。
WinActorライセンスとサービスは必ずしもセットではない
上にも書きましたが、そもそもライセンス保守は契約に含まれていてNTTが行うことになっていますし、品質がバラつくものでは無い以上、何処の代理店から購入しても同じものであり、使用する権利を買うだけです。
WinActorを含むRPA製品の場合はその使い方が問題になりますが、少なくとも下記の様な方々は安くダウンロード購入するほうがメリットが大きいと考えられます。
- 現在既にWinActorを使っている(使い方は理解し、付帯サービスは不要)
- 東京などの大都市圏の方ではなく、近くにWinAcorに詳しい代理店もない
- シナリオ作成やRPA導入サービスをベンダーに依頼するのではなく、自社で自動化・運用のスキルを獲得していきたい
シナリオ作成などのサービスをベンダーに依頼したい場合でも、WinActorのライセンスは安くダウンロード購入し、シナリオ作成などの部分だけをベンダーに依頼することができます。(恐らくこれを断るベンダーは無いと思われます)
また、自社で考えている自動化内容に似たようなシナリオのサンプルを探してきて、カスタマイズするほうが遥かに安上がりですし、社内にナレッジ・スキルを蓄積することができます。
翌年も同じ代理店から購入する必要はない
これを言うと、自分の首を絞める感じになってしまいますが、現実です。1年間、WinActorのソフトを使う権利を購入しただけですので、2年目以降は何も約束していません。
1つ注意が必要だとすれば、契約書に「契約期間満了の2ヵ月前までに解約のお申し出がない場合は次の12カ月間の自動契約延長になります」と言う趣旨の文言が入っている場合があります。
この様な場合は、契約(解約)期間を十分把握・考慮して契約を進める必要があります。(まるで携帯電話の契約みたですね)
結局は情報が一番重要
いろいろ考えていくと、RPAの場合は新しいカテゴリーのソフトウエアであるため最初はどの様に動くのが正しいのか、シナリオの作成方法、使い方などが解らないものです。
従って、当初はどこかベンダーに導入・シナリオ作成を依頼したとしても、昔の自社サーバー型システムの様にベンダーの人間が高額で常駐し永遠に保守・運用していくようなシステムではありません。
従来のシステム開発から漏れた(システム開発し難かった)業務で、柔軟な対応を要求される業務を対象とするため、ビジネス環境の変化に応じて随時メンテンナスしていく必要があります。
従って、やはりある程度は自社でWinActor のシナリオをメンテナンス出来る知識・スキルを蓄積していく必要があると考えられます。
やはり、WinActorの使い方やシナリオのサンプル、他社の事例などの情報をお互いに共有して、シナリオ自体は流用し使いまわしていく事で効率性と品質を上げていくような取り組みが必要なのだと思います。