CRM とERPは直接つながらない

なぜCRMとERPは別アプリケーションなのか

情報の固さが違う

CRMには通常、SFA、サービス管理、マーケティング管理など、様々な機能モジュールを含んでいますが、ここではCRMと言ってもSFA の意味で説明します。

SFAには、営業案件の情報を入力していき、営業訪問した時に得られた見込み客の予算企業内のパワーストラクチャー意思決定者、いつ位に契約してくれそうか等の情報を管理していくわけですが、これらの情報が不確実な(柔らかい)内容を含んでいるのです。

実際に訪問した営業マンは、当然売りたいと思っているわけですから、その思いが相手の言っている内容にバイアスをかけ、100%事実とは言えない情報です。

予算はどの程度あって、何時頃買おうと思っているか、他にどの様な会社を比較検討しているか、などストレートに教えてくれるお人好しの担当者ばかりではありません。

どんなに製品・サービスが優れたもので、価格競争力が有ったとしても契約直前に、たまたま競合の役員の知り合いであったなどの理由でひっくり返されることも珍しくないのです。

 

CRMの案件が100%受注に至ることは無い

CRMで管理している営業案件が100%受注になる事など通常ありませんし、そのような会社が有ったとしたら恐らくCRMなど使わないと思います。受注が確実なのですから、管理する必要も無いので、予算金額を単に管理して当期の売上にすればいいだけなのです。

それは恐らく、社会主義国家か官公庁の第三者機関のようなところ位なのだと思います。その意味で、過去に起きた事象を単純に会計転記していくERPとは情報の固さ(確実さ、安定性)が違い、そのままCRMの情報をERPには持っていけないのです。

その意味で、CRMとERPがもし一体だったら、ERPに無駄な受注にならないゴミデータが大量に登録されてしまう事になってしまうでしょう。

 

CRMとERPでは顧客の属性が違う

顧客マスターもCRMからERPへ連携出来そうな情報ですが、ここでも双方で持っている顧客情報の固さの違いがあります。

仮にCRMからERPに無条件にマスター連携してしまうと、結局受注に至らなかった顧客マスターが大量にゴミとして残ってしまいます

この時点で不要だとして削除すれば、恐らくデータ削除できるものと思われますが、間違って何かのトランザクションを登録してしまったりすると、参照されているこの顧客マスターはほぼ削除出来なくなってしまいます。ERPとはそのようなものです。

そして、受注に至らなかった大量のリードや営業案件がそれらの顧客マスターを参照していますから、削除もかなり難しいでしょう。

 

CRMとERPの間は業務的には近くない

CRMとERPの間には実はこれらのシステムにのらない多くの業務が存在します。

CRMからERPへ顧客関連マスターを単純にデータ連携することにも疑問が残ります。一見、営業案件がクローズ(受注)に至れば取引が始まる分けですから、ERPにデータ連携しても良さそうなものですが、その間にはシステム外の業務が多数存在しています。

実際の契約に至る前には、様々なオプション品や色、付帯サービスなどのコンフィグレーション(組み合わせ設定)が必要な製品・サービスだったり、そもそもその相手に販売して大丈夫なのかの確認をする与信管理などです。

複雑なコンフィグレーションを可能とする

 

販売するものによっては、買主の資金調達に絡む支援が必要だったり、非社会的勢力に関連していないか、輸出規制などに引っ掛からないかなど、様々な点を確認する必要が有ったりもします。

そして、売っても大丈夫だとなったら、口座開設や、基本契約などの手続きが必要になったり、マスター登録の手順が必要になったりします。

実際にERPの顧客マスターにある多くの項目を全て入力するわけではないですが、少なくとも、出荷先の住所、電話番号や受け取り担当者、請求先の住所、請求サイクル・タイミング、サイト(納品後何か月後に請求するか)など、ERPとしては最低限入力が必要な項目は結構あったりします。

そして、ERPのそれらのマスター項目は必ずしも1部署で完結するものではなく、通常複数の部門で決定されるものです。

 

販売単価や値引きテーブルなどは営業部門でしょうし、会計転記する勘定は経理かもしれません。製品に絡む製品・部品マスターやBOMなどは設計・開発部門でしょうし、製造原価に繋がる工場の工賃・償却費用などは製造部門でしょう。

 

CRMとERPの間を繋ぐ仕組みが必用

では、どうすべきかですが、ある程度の規模の企業であればMDM(マスター・データ・マネージメント)などの特別なシステムを準備する会社もあるかと思います。

このようなシステムを構築する、若しくはパッケージソフトを使用することは当然可能なのですが、上記でも書いた通り、データの固さが違いますし、特に顧客マスターの場合はまず、クレンジングが必要となります。

受注した営業マンは新規の取引先だと思って動いていたが、実は既に取引があり旧会社名で顧客登録されていたり、カタカナか漢字かカタカナも全角か半角か、など多くのバリエーションがあり、既にERPに登録されている顧客マスターであっても重複している可能性が高いのです。

やはり、先の述べた見積り段階で様々な組み合わせのコンフィギュレーションを簡易に作成・見積りし、データクレンジングして連携する仕組みが必要なようです。

そして、一旦ERPに連携したら終わりではなく、常に顧客データの名寄せチェックを実行する機能も無いと同じ会社の顧客マスターが増え続けることになるでしょう。

 

 

 

 

 

 

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