RPA・AI社会でエンジニアのスキル要件が変わる

人手不足・売り手市場が続いているエンジニア市場

IT系エンジニアの転職市場では長らく「売り手市場」が続いていますが、それは市場全体としてマクロ的に見た統計データの話です。数年後にはエンジニア何千万人が不足する、などとよく言われていますが、

それは今後必要となるAIやIoT、RPA等の最新技術のエンジニアであって、必ずしも、現在のスキルのエンジニアではありません

 

早期のキャリアデザインが重要

個人レベルで考えると、第一線のエンジニアを一生続けるのは結構大変です。30才位までがピークで、その後はプログラムを書いていても集中力が続かなくなり、40代になれば老眼で画面の文字も読みづらくなってしまいます。

機械や土木・建築系などのエンジニアはIT関係ほど技術トレンドの変化が速くないのでそうでもないかも知れませんが、ITエンジニアは新しい技術や言語にキャッチアップしていくのに相当な努力が必要となります。

IT系のエンジニアは早期に将来のキャリア設計を考えて、計画的にキャリアを作り込んでいく考えが必要

 

エンジニアの転職適齢期とは

転職が可能なのは35歳まで、とひと昔は言われていましたが、現在は50台でも年齢に見合うスキルがあれば転職自体は可能です。しかし、この「年齢に見合うスキル」が問題なのです。

IT系のエンジニアであれば、プログラミング言語やデータベースなどの一通りのITスキルが身に付き、2,3件のプロジェクトを経験すれば十分かと思われます。22歳の学卒で就職したとすれば25歳~30歳前には少なくとも1回目の転職をすることをお勧めしています。

単なるプログラマーの経験が長いのは逆にマイナスに見える可能性が高いと考えてたほうが良いと思います。あまりに過去の古いテクノロジーでの経験が染みつくと逆に邪魔になることもあるのです。

なぜなら、今後クラウド全盛時代となりAIやIoTなど新しい技術トレンドに早くキャッチアップしていける能力が求められます

転職力・スキルが安定につながる

人手不足でも、誰でも良いわけではない

IT業界は人手不足の状況が続いていますが、当然誰でも良いわけではなく、将来に向けて必要となるスキルを持ったエンジニアがいないのです。

単なるエンジニアが人手不足なわけではなく、スキル需要のミスマッチ状態

RPAがITエンジニアの人手不足を解消する

 

エンジニアの将来キャリアと想定年収

IT系エンジニアとしてキャリアを始めた方が、将来どの様なキャリアを考えられるか典型的なエンジニアキャリアをご紹介します。

マネージメントキャリア

マネージメントになるのはIT系エンジニアのキャリアとして、典型的だと思えるかも知れませんが実はそうでもありません。SI会社でも一般事業会社の社内IT部門であっても、その企業が成長し、組織が拡大しない限りポストは基本的に増えないのです。

■ マネージメントを目指すアクション

マネージメントキャリアを目指すのであれば、同じ会社で昇進していくことを期待するよりも転職のタイミングでそのポジションを得るほうが楽だと思います。しかし、何のマネージメント経験もない人間をいきなりマネージメントとして採用する会社はそうは有りません。

従って、転職時にマネージメント職を獲得しようとする場合に取り得る戦術は以下の2つです。

  • 現職でのプロジェクトマネージメント経験の表現の仕方を工夫する
  • 新しい市場(スキルエリア)にキャッチアップし、競争相手がいない(いわゆるブルーオーシャン)を狙う

■ エンジニアからマネージメントになれる割合

エンジニアからマネージメントになれるのは下記のイメージでしょう。

  • 同じ会社でマネージメントに昇進:10% ~ 15%

■ 想定される年収のレンジ

同じIT系の会社でも、規模や取扱商材などにより大きく収入が違う可能性がありますが、下記のイメージで大丈夫だと思います。

  • 事業会社の社内IT中間管理職:600万円 ~ 850万円
  • 事業会社の社内ITトップマネージメント:900万円 ~ 1200万円
  • SI系の中間管理職(営業責任なし):800万円 ~ 1000万円
  • SI系の部門マネージメント職(営業責任あり):1000万円 ~ 1300万円
  • ベンチャーのマネージメント:600万円 ~ 1500万円(内容、責任、業績により変動が大きい)

 

スペシャリストキャリア

技術系のスペシャリストとして生きていく道を選択する方向です。一番イメージし易く希望する方も多いかとは思いますが、誰かが決めた仕様通りにプログラムを書いていれば良いわけではなく、新しい技術トレンドを把握し、社内の多くのエンジニアへの技術指導や技術の標準化をしたり、と結構多忙で常に勉強が欠かせない職種です。

海外の会社では技術系のトップはCIO/CTOなどと呼び、かなり上のポジションでビルゲイツやラリーエリソンなど創業者が経営を人に任せた後に就任したりします。

■ エンジニアからスペシャリストになれる割合

イメージ的にはスペシャリストとして生きていける人はごくわずかです。余程のスペシャリティーと統率力、発想などを要求されます。

  • ITスペシャリストとしてのマネージメント:1% ~ 3%程度

IoT・AI社会で求められるスキル

■ 想定される年収のレンジ

組織の規模や取扱商材にもよるとは思いますが、年収は下記のイメージです。

  • 事業会社の社内ITでの技術スペシャリスト:700万円 ~ 1100万円
  • SI系の技術マネージメント:900万円 ~ 1200万円
  • ベンチャーの技術マネージメント:650万円 ~ 1300万円

 

ビジネスキャリア

IT系エンジニアでキャリアをスタートしてもビジネス系のスキルを身に着けることでキャリアの幅を広げていく道です。ITとビジネスの両方を理解していることで、活躍の場は以外に広いかと思います。

■ 考えられる職種

ITの知識・経験とビジネススキルの両方を持つ場合に考えられる職種としては下記のようなものがあると思います。

  • SI会社のコンサルタント
  • 事業会社の経営・事業企画
  • 事業会社のIT部門マネージメント
  • コンサルティング会社のコンサルタント
  • IT会社のプリセールスコンサルタント

 

■ エンジニアからビジネスキャリアへ移行できる割合

ビジネス系のナレッジを合わせ持つマネージメントになれる割合は 20% ~ 40% 程度のイメージです。

AI 社会の人事組織・評価体系とは

■ 想定される年収のレンジ

  • ビジネスコンサルタントのマネージメント:1200万円 ~ 3000万円
  • SI会社のコンサル系マネージメント:900万円 ~ 1200万円
  • 事業会社のIT部門マネージメント:850万円 ~ 1100万円

 

フリーランス

■ フリーランスとは

フリーランスも幅が広い言葉ですが、個人でITコンサルタントをやっているような人もいれば、フリーランス向けの仕事紹介会社クラウドソーシングなどから仕事をもらって、エンジニア派遣に近いような働き方の人もいます。

■ 想定される年収のレンジ

  • フリーのITコンサルタント:800万円 ~ 1600万円程度(仕事が続くかが問題)

 

エンジニア派遣

■ エンジニア派遣とは

エンジニアを派遣する会社は多く、一般職の派遣との大きな違いは開発言語などの対応可能なスキル別に紹介する点と単価位でしょうか。また、技術系の派遣会社では付加価値を高めるためにトレーニングコースを設けていたりもします。

基本的には派遣される立場であり、マネージメント的な要素は無いと思いますので、仮に短期的な収入が高かったとしてもお勧めしません。その理由は以下のような点です。

  • 現在のスキルを前提に選ばれるため、スキルアップが出来ない
  • 新しい技術要素へのキャッチアップが遅れ、技術が陳腐化する
  • 長期になりやすく、マネージメント経験を積めない
  • 2択程度はありますが、基本的には自ら仕事を選べない。派遣会社もアイドルタイムを無くすため先入先出をしたがる
  • なかなか派遣から抜け出せなくなる

派遣社員はスキル見直しを迫られる

■ 想定される年収のレンジ

  • エンジニア派遣:450万円 ~ 750万円程度

 

エンジニアの年収・高収入キャリアを分ける差とは

目先の高収入に惑わされない

ほとんどの方は採用面談のレジメに過去に参加したプロジェクトやその時のポジション、使った言語やデータベース等を山ほど書いてきます。どうも人材紹介会社のキャリアコンサルタントがそう指導するようです。

年齢やキャリアの方向性に関係なく、テクニカルスキルを全部書くのは間違っている。キャリアのストーリーをよく考えて、経験していても脈絡がない事は書かないほうが良いこともある。

端的に言うと、それなりの年齢のエンジニアであればそれなりの言語スキルなど有って当然で、マネージメント経験やビジネス知識などを訴求して、全体のキャリアストーリーとして書くことをお勧めします。

 

目先の多少の給与差より、5年後、10年後のキャリア・ポジションを重視することで、生涯収入は数倍~数十倍になる

はっきり言って、人材紹介会社は高年収で売りやすい現在のITスキルを訴求したほうが早く採用されて良い(儲かる)のが理由で、本人のキャリアを考えている訳ではありません。

将来、どうなりたいのか、キャリアストーリーを考えるのはあくまで自分自身です。

 

日本の雇用慣行はもうすぐ崩壊する

言語スキルと年収の関係

プログラム言語やデータベースなどの経験した技術要素によって基本的に大きな差はないのですが、傾向としては下記のイメージです。

■ 希少性で変わる

そうは言っても、需要と供給の関係で言語・技術要素によって違いがあり、下記の上から下に行くに従って単価は安くなります

単価が高いのには理由があり、ベンダー特有の言語は外部から学習することが難しく、そのベンダーの高価なトレーニングに行って学ぶしありません。単価が高いからと言って容易に身に着けることは難しく、エンジニア需要も安定しません

  • ベンダー依存の特殊な言語:ABAP、Apex など
  • オープン系の言語:.Net、VB、C#、Swift、PL/SQLなど
  • Web系の言語:HTML、Java、PHP、Perl、Ruby、Python など

■ 経験した言語の数で勝負

経験した技術要素を書き並べ、対応できるスキルの幅の広さで勝負するレジメをよく目にしますが、若いうちはこれでも大丈夫かとは思います。

 

リスクをとる姿勢が重要

エンジニアのキャリアを考えた場合、やはり若いうちに将来のキャリアをデザインし、計画的にキャリアを作っていく考え方が必要です。ある程度の年齢になると、現在の会社でのポジションや人間関係など失うものが多くなります。

年齢を重ねると、転職で失う物と得られる物を考えてリスクをとりにくくなる

若いうちにリスクをとり、攻める姿勢が長い目で見ると結果的には安定も高収入も得られる

 

リスクをとる姿勢がチャンスを生む

情報収集力

昔はインターネットも無く、ベンダーのトレーニングに行くか本屋で技術書を読み漁る位しか最新技術を入手する方法がありませんでした。しかし、現在ではインターネットで検索すれば余程特殊な技術でない限り入手できます。

また、SNSなどで同じような技術に取り組んでいるコミュニティーが発達しているAWSやオープンソースのような世界もありますので、アンテナを高くはり、新しい技術情報を常に仕入れておく習慣は重要です。

会社が費用を払ってトレーニングに行かせる責任がある。自分のスキルが低いのは会社のせい

と言う「待ちの姿勢」ではエンジニアとしての将来は難しくなります。積極的に自らスキルを磨く姿勢が重要です。

 

「勉強しない」エンジニアが増えていると言われるが

採用難の本当の理由

エンジニアの有効求人倍率は5倍以上」が続いていますが、人がいない訳ではありません。

【 採用難は人がいない訳では無く、スキルのアンマッチが原因 】労働市場で求められている、将来必要となる知識・スキルを身に付ければ明るい未来が開ける

エンジニアは仕事をしながら勉強する

特にIT系のエンジニアは新しい技術が次々に開発されます。現在であれば、IoTやAI、FinTec、RPAやビッグデータなど様々な新し技術にキャッチアップしていく事が求められます。

改めて時間を取ってこれらの新技術を学びに行くような余裕は無く、一定の仕事をしながら自ら情報収集をしてキャリアプランに従って技術を身につけていく姿勢が必要となります。

AIとRPAの違いを学ぶ

AI・RPAロボット社会に求められるエンジニアのスキルとは

それでは、RPAやAI、IoT等の新しい考え方・技術要素に求められているスキルとはどの様なものかですが、基本的な方向性としては「プログラム開発の要素は減り、クラウド上の機能部品や、AIライブラリーなどを使う技術」が中心に変わってきます。

 

 

テクニカルスキル

その他にもいろいろな技術要素がありますが、以下のようなテクニカルスキルがあればこれからは重宝がられるのではないかと思います。

  1. コマンドラインからシエルスクリプト等を設定し、使う技術
  2. パラメータを設定する(その為には、裏にあるIT技術や業務要件、IT構造を深く理解していないと設定できない)
  3. APIなどを使い、組み合わせる技術
  4. 機械学習モデルの基本的な考え方や結果評価、学習データなどの基本的な知識

AI・IoT社会で求められるスキル

ビジネススキル

ビジネス感覚を磨いていく事はエンジニアにとって非常に大きな武器になります。現在のB/S、P/Lやキャッシュフローでの財務的な業績評価や、市場占有率やパテント、ブランドなどの株価に反映される要素など、ビジネス的な評価基準はしばらくは変わりそうにありません。

物の価値を測り、保全し、取引を代替するビットコインなどの仮想通貨が出て来てはいますが、完全に代替するのではなく、商取引上は既存通貨との換算が常に存在します。

新しい技術にキャッチアップしていくことで、ビジネススキルを磨くことにつながり、マネージメントキャリアに繋がる営業センスを磨くことにもなり、明るい展望が開けます

 

 

 

 

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