工場のIoT化はクラウドに行きつく

今後のIoT社会を考えると、全てを自前主義で持つ選択は有り得ないと思われます。自社のコアバリューに経営資源を集中し、グローバル競争の中で安価に最先端のAI機能などを使いこなす技術を身に着けていく必要があります。

単なるインフラであるクラウド環境などは借りて使うことでスピードを獲得するのが良いのだと思います。

IoT化はタッチパネル機能でも可能

殆どの製造業の現状は、工場内に閉じた集中監視室などで設備の稼働状況、生産状況を監視しているか、もしくは個別の設備の近くにオペレータの詰め所があって、そこで稼働状況を監視しているようなレベルかと思います。

IoTをどう捉えるかですが、単にインターネット経由で工場設備の稼働状況をiPhone等のモバイル機器で見るだけであれば、制御盤についているタッチパネルや計装メーカーの専用の小箱を付けるだけで実現できます

横河電機さんや山武(今はアズビルでしょうか)、日立さんのようなプラント計装装置メーカのホームページに行くと沢山この手の情報が載っています。先ずは外部から生産状況を見たい、との要件であればこれらの対応で十分かと思います。

 

インダストリー4.0はIoTの先にある

インターネット経由で見れれば良いのであれば

本来のIoTの目指すところは、ドイツ政府がインダストリー4.0として提唱しているような世界なのだと思います。それは下記のような特徴を備えた状態の工場のことを指しています。

 

しかし、IoTと言う言葉を下記の1.のみと捉えると単にインターネットに繋がっていれば良い、となってしまいます。

  1. センサや設備を含めた工場内のあらゆる機器をインターネットに接続 (IoT)
  2. 品質・状態などの様々な情報を「見える化」
  3. 情報間の「因果関係の明確化」
  4. 設備同士 (M2M) 又は設備と人が協調して動作する

AI機能を使う

ここで重要になるのが、上記の3. 4.なのだと思います。情報の間、特に設備、工場、システムや業務を跨いだ因果関係が見えていて、その関係が整理され、その情報を基に各設備や工場、人が連携・協調して動く世界です。

このような状態を目指そうとすると、単にインターネット越しに設備の稼働状況を確認するようなレベルではなく、やはりインターネット環境 ≒ クラウド環境に何がしかの、それらの情報を繋ぎ、付加価値を生む機能を持つことになるのだと思います。

そして、そのクラウド上の機能がクラウドベンダー各社が開発競争を繰り広げているAIなどの機能なのです。

 

サプライヤー、顧客など社外との連携

インターネット経由で情報連携するのは人や設備・工場間だけではなく、企業間も繋いでいきます。

それは、従来から言われていてなかなか実現出来なかった、サプライヤーや顧客などとの受給情報連携や、出荷・納品実績、配送状況などのビジネスそのものであり、この意味する先にはあらゆるもの、サービスがインターネット環境により情報連携し最適化されている世界です。

 

従来から日本で設計し、データをネットワーク経由で送ることで台湾のEMSで生産し、物が直接中国やアジア諸国に出荷されたりしていますし、世界中の何処かで設計されたIC回路の設計図データが世界中の何処かの半導体ファブに送られ、柔軟に生産されたりしています。

 

これらの状況がさらに世界規模で業界を超えてダイナミックに連携した状態だと思えば良いかと思います。自動車メーカーなどはある程度自社グループの中でCADが統一され、部品メーカーにその設計データが即座に送られ、試作品を組み付けて走行テストを短期間で繰り返すなど、現在でもある程度出来ているのだと思います。

この開発期間の短縮がもたらす市場投入サイクルの短縮、部品の共通化・モジュール化などが企業競争力の源泉になっている点を考えると、その効果は多きいと言わざるを得ないと思います。

IoT化で物流コスト基準の最適化が可能

既に規模の経済になっている

日本でも、ある程度の規模の大企業は、データセンターに投資し自前で所有している企業が多いかと思います。しかし、その規模を考えると、現在グローバルで投資競争しているアマゾンマイクロソフトGoogleなどの企業とまともにコスト競争出来るとは思えませんし、その維持コスト自体もばかにならないのではないかと思われます。

AWSが日本企業に向かない理由

彼らのデータセンター自体や、クラウド環境で使う事を前提としたシステム機能(部品)への投資規模は、到底日本企業1社がシステム投資している金額とは桁が違います

また、世界中から優秀なAIの研究者を数千人単位で雇い、昼夜問わず開発を進めている状況であり、現在、グローバルでのクラウド環境のシェアーと成長性を比べて、今後生き残れるのはAWS(アマゾン)、Azure(Microsoft)、GCP(Google)程度で、かろうじてBlueMix(IBM)が生き残れるか、と言われる状況で、現在一般的なIaaSと言われる使い方は既に値下げ競争となっています。

 

やはり、日本の製造業などの事業会社はこれらのグローバルIT企業が開発したクラウド基盤上の機能をどの様に上手く使いこなしてビジネスに生かしていくかを真剣に考えていく時代なのだと思います。

クラウド時代でSIは終わったのか

 

 

 

 

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