AI・RPAに仕事を奪われるホワイトカラーの生き残る道

一流大学を卒業して大企業に就職出来たから一生安泰、と会社を信用しきって事務所で時間をつぶしているホワイトカラーの方も多いかと思います。しかし、AIやRPAなどのロボットに仕事を奪われるまでそう時間は掛からないかも知れません。製造現場への産業用ロボットの普及は急速に進みました。

その時は急にやってくる

製造現場へのロボット普及

今では「あたりまえ」となっている産業用ロボットがずらりと並ぶ組立ラインの製造現場映像ですが、この産業用ロボットは1980年代から急速に普及しました。

この産業用ロボットの特徴としては以下のような点が挙げられるかと思います。

  • 教えた通りの動作を単純に繰り返す:単機能ロボット
  • 名人の動作を教えれば名人と全く同じ動きを真似出来きる
  • 尚且つ、倍速、3倍速・・・と高速化出来る:何人分もの仕事を1台で
  • 間違わない(同じ動作を正確に繰り返す)
  • 24時間働き続ける
  • 低コスト

最初から現場に受け入れられたわけではないと思います。やはり製造現場で働く人々としては自分の仕事を奪われるのではないか、「あんな教えた通りの動作しか出来ないロボットなんか使えない」と否定的でした。

しかし、この正確に教えた通り、低コストで作業を繰り返す産業用ロボットのおかげで日本の製造業は世界一の生産性と品質を維持出来ていたのです。

 

日本のオフィスはロボット普及前夜

この様な状況は現在の日本のホワイトカラーが働く「現場」であるオフィスの状況と似ています。PCに向かって人が行っている繰返し手作業の多くがロボット向きの仕事であり、むしろ人がやるには向かない、あまりに単純な繰返し作業を今だにやっているのです。

◆ 日本の労働生産性はOECD先進国中最下位

日本の1人当たりGDP(≒1人が1年間に生み出した付加価値)はOECD加盟国中でほぼ最下位の状況が続いています。製造現場の生産性が極めて高い(人件費が高いためそうぜざるをえなかった)にも関わらずです。

◆ 日本の産業構造はサービス業中心に変化

確か中学校の時に日本は原材料を輸入し、完成品を輸出する加工貿易で成り立っている、と教えられました。しかし、もう既に日本の産業構造は製造業(第二次産業)中心からサービス業(第三次産業)が中心の社会に成熟(?)しています。

日本の労働生産性の低さの原因は製造現場ではなく、むしろオフィスワーク(≒ ホワイトカラー職種)の労働生産性の低さなのです。

 

管理職も安泰ではない、むしろより危険

これは何も一般社員に限ったことではありまあせん。むしろ日本は人口減少社会に入り人材採用も難しく、労働力人口が2045年には2015年対比で30%も減少することが決定的です。そして、その一般社員を管理するポジションが今後どの程度残るのか考えれば明らかです。

まして、管理する対象は今後ロボットになっていく可能性が高いのです。

 

なぜ日本の労働生産性は低いのか

日本の(特にオフィスワークの)労働生産性が低い理由は様々ですが、主には「雇用維持」の名の下に高度成長期には合理的だった日本の特殊な雇用慣行を時代が変わったにも関わらず頑張って維持しようとしている点にあるのではないかと思います。

 

人材の流動性が極めて低いため、過去の(に栄えた)産業に不要になった人が滞留し、今後の(伸びる)産業に優秀な人材が供給されないのです。飼い殺しにされる本人も不幸ですし、日本社会全体としても非常に無駄が多いのです。これでは社会全体の労働生産性が上がらないのは当然です。

 

AI・RPAに奪われない仕事とは

現在のRPAの限界

RPAに関してはソフトウエアカテゴリーとして新しく、未だ発展途上・未成熟のものです。そのため、現在のツール機能では不十分な点も多く、正直言って出来る事/出来ないこと(向く仕事/向かない仕事)があります。

 

今後数年かけてRPAはソフトウエアツールとして機能面が充実していくのだと思いますが、明らかな方向性としてAI(頭脳)を取り込んでいくのだと思います。そして、そうなった時は現在のホワイトカラーの仕事の多くはRPA(+AI)にとって代わられる可能性が高いと考えるべきでしょう。

 

RPAにAIを組込むことによる効果

■ RPA+AIで可能となる仕事

現在のRPAが出来るのはあくまで業務フローで定義できるルールベースの自動化でしたが、

AIが加わるとそのルールが柔軟に出来る

と思ってもらえれば良いかと思います。現在のRPAでは、

  • Web問合せのこの項目の値がExcelファイルのこの列にあるか検索し、ヒットした値の隣のセルの内容を、決められた人にメール送信する

といった明確なルールが必要です。ここにAIが加わると

  • 電話問い合わせの会話中に、あるキーワードをFAQ中から検索し、ヒットした結果を画面に出しつつ、過去に同じような問合せを受けたオペレータにも共有する

というように、予め決められたルール通りに実行するのではなく、過去の熟練オペレータの操作から学習し、次の操作を先回りして勧めたり、関連情報を先回りして探したりしてくれるようになると思われます。

 

RPAロボットでの自動化にAI機械学習が加わると、「ルール」を柔軟に出来、人の仕事の仕方を覚えて学習し、徐々に賢くなっていく

ように進化していくものと思われます。

 

■ AIでの代替の限界

AI機械学習にも限界はあります。それは、独自に新しい概念を考えたり、似たような前例が無い状況での判断は難しいのではないかと思われます。少なくとも、現在の技術の延長線上では不可能でしょう。

そここそ人がやるべき仕事であり、クリエイティブな人間らしい部分になります。

 

ほとんどのオフィスワークがAI・RPAに代替される

上記の通り、オフィスワークの内、余程の専門性がある資格業種以外の殆どの一般事務系の仕事は数年以内にRPAやAIに代替されていくのではないかと思います。

無論、業界や企業毎にその自動化の進捗には濃淡があるとは思いますが、市場での競争が激しい業種・業態ほどその変化は早く進むものと覆われます。

 

生き残るためには・・・・・それでも残るホワイトカラーの仕事とは

考える仕事

考える仕事をしている限り、AIやRPAに仕事を奪われることは無いと考えられます。例えばこういうことです。

  • 新しい製品コンセプト、プロモーションの仕方、販売方法、デザインなどの創造的な仕事:クリエイティブ
  • 成果に向けて集団(組織)を率い、導き、達成する:リーダーシップ

間違っても自分の時間を切り売りするような仕事ではありません。この様な仕事は真っ先にロボット化される対象です。

 

普遍的なコミュニケーション能力を生かす

やはり、普遍的で人間的なスキルを磨いて、相手(の会社)にとって「その人」でなければならない唯一無二の存在になるしかないのです。

  • コミュニケーション力

非常にコミュニケーションがうまく、同じ内容でも「その人が話しに行けば話がまとまる」、や「職場が明るく働き易い環境になる」、などはやはり有ります。これなどは、やはりその人でなければだめなのだと思います。

  • 柔軟性、積極性、スピード

日々の仕事の小さな改善や、効率化、もしくは本来業務でなくても柔軟に対応してくれるような人がいたりもします。おそらくこの様な方は繰り返しルーチンワークではないので、自動化し難いかも知れません。

 

これらの「考える能力」と「コミュニケーション能力」の両方を身に着けていくしかないと思いますが、割合は別としてこれらの能力の両方を持った人間だけが生き残れるのです。特に「コミュニケーション」だけでやっていこうとすると、本当に会社が苦しくなった時にリストラ候補となってしまう可能性が高いでしょう。

 

 

 

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