IT会社はサービス業として選ぶ。ベンダー選定の方法

クラウド全盛時代になり、システム開発のやり方が変わってきています。クラウド上のサービス、部品を組合せて使う現代のシステム構築に人数は不要であり、必要であれば世界中から部品を探してきて使う事が可能な時代なのです。

こちらでは時代に即したITベンダーの選び方・視点をご紹介しています。

サービス業の本質

形がないもの(=サービス)を提供することにより、対価を得るのがサービス業です。形がないだけに、それを購入する側には自分が購入したサービスが実際にはどのようなもので、その額を払う価値があるものなのか判断が難しく、そのサービス内容は毎回違ったものになります。

それだけに、サービスを提供する側は出来得る最大限のことをし、そのサービスに満足した買手が謝礼としてお金を支払う。それがサービス業なのだと私は思っています。決して逆であってはいけません。先に自分の利益を優先し、楽をして対価を得る、ある意味だますような行為です。

サービスを買った側は形がないものなだけに、言っていたサービスと違うじゃないかとは言い難いですし、サービスを提供する側も一手間減らしたからといって、殆どの場合その原価が下がる訳ではないと思います。

サービス業の原価の殆どは人件費と思われ、残業代などを除けばほぼ固定費なのです。お金は後からついてくるものであり、クライアントの利益が最優先なのです。少なくとも、私はそう教えられ、それがサービス業の本質だと今でも思っています。

 

今、IT業界で起きている環境変化

システムの作り方が変わってきている

ネットワーク環境の発展により、システム開発基盤はオンプレミスからクラウドへのシフトが加速しています。これにより、ITシステムの開発スタイルも大きく変化してきており、よりシェアリング・エコノミーの方向になってきています。

 

クラウド上のアプリケーションを開発する場合、SaaSと言われる業務アプリケーションをユーザID単位で契約して使うやり方か、PaaSと言われるクラウド上の部品を組み合わせて使う作り方になってきています。

 

ITエンジニアの流動性の高まり

ITの業界は、通常の製造業などと比べてかなり人材の流動性が高い業界だと思います。以前、私がいた大手製造業では、会社を辞め転職すると言うと、「世界の終わりが来るぞ!もう人生終わりだ」とでもいうような言われようでした。

数百人いた同期入社で辞めた人は聞いたことが無かったですし、転職の話題などしたこともなかったです。ところが、一度転職してITの業界に入ると入社2、3年目で半数が転職するのが当然のイメージでどこの会社に移っても結局は転職先で同じような仕事をしています。

逆にIT会社で極端に流動性が低い会社は使う立場で言うと危険な感じがします。どうしても製造業的な縦社会で内部の論理に支配され、自社の都合を優先しがちになります。

目先の顧客よりも内部の上司や社内営業のほうが優先され、本来のサービス業としての本質とはかけ離れてきているのではないかと感じます。

それでも、オンプレミスの時代に大規模なシステム開発を依頼する先としては、どうしても社員数が多く、提案できるソリューションの幅が広い大手SIに依頼するしかなかったのかも知れません。

 

オフショア開発があたりまえに

しかし、最近ではクラウドシフトによってシステムの作り方が変わってきていることもあり、まとまった規模の開発はインドや中国などでオフショア開発することが普通になってきています。安い人件費で時差を使って夜間に開発し、日中にテスト出来ますから開発期間の短縮にも効果があります。

そう考えると、これからは会社の規模ではなく、どれだけ業務要件を的確に把握してシステム設計に落とし込めるかや、インドや中国のオフショア委託先をコントロールするマネージメント力が益々重要になってくるのではないかと思っています。

 

ITは会社ではなく、個人(誰に依頼するか)になってきている

そう考えると、ITの世界は結局会社の規模や名前ではなく、個人個人なのだと感じます。どんなに有名なITの会社にもダメなエンジニアは大勢いますし、中小のソフトハウスにも非常に優秀なエンジニアが結構います。その人達の多くは以前は有名な大手IT会社にいたような人たちだったりします。

結局は人なのです。IT開発やコンサルティングを依頼する場合は、あくまで人ベースで、サービス業としてどのようなスタンスなのかを見極める。これに尽きると思います。やる気があり、顧客の為に必要であれば、このインターネットの時代に必要な情報、技術はすぐに手に入ります。

しかし、本人のサービス精神や仕事・会社に対するスタンスマインドなど内にあるものはそう簡単には変えられません。大企業など組織や評価・報酬制度などが内向きであれば、社員の考え方、動き方もおのずとその方向になってしまうのは仕方がないことなのです。

 

 

どうしても選べなければ、中立的な立場のコンサルティング会社に依頼する

どうしてもIT開発を委託する先に迷うようであれば、ITの開発、実装を自分達ではやらない中立的なコンサルティング会社にベンダー選定を依頼するのも手かと思います。

あくまでニュートラルに評価し、どこかのIT会社やソリューションに落とそうとする必要がない、独立系で大手SIの資本や役員が入っていたりしないコンサルティング会社が良いかと思います。

先ず、評価委員会メンバーで自社が重要とする評価軸を重み付きで合意し、コンサルタントが各評価項目毎の点数を与えます。これらの掛け算で、誰かが恣意的に馴染みのIT会社に落とすようなことが出来ないニュートラルなベンダー選定をするのが通常のアプローチです。

 

 

関連記事

  1. しつこく、PUSHセールスに来るIT会社は危険

  2. 失敗しない為の ITベンダー選定10個のポイント

  3. 海外事例ばかり持ってくるIT会社は危険

カテゴリー

人気の記事