働き方改革の真の意味は仕事の密度を上げ、業務効率を改善することです。PCで実施している単純な雑務に追われて本当にやるべき考える仕事、クリエイティブな仕事が出来ていないとすれば朗報です。
今まで難しかった小ぶりなPC雑務をRPAの活用で自動化出来るようになってきていますので、その辺りのご説明をしています。
「働き方改革」はリストラ目的ではなく、人手不足の対策
働き方改革の本質
政府の大号令もあり、「働き方改革」が盛んに叫ばれています。一部には残業代を抑制したい企業側の勝手な論理だとの見方もあるのだろうと思いますが、
労働の質を改善して労働生産性を向上することを目指している
のがその本質だと思います。
昔から言われていることですが、特に日本企業のホワイトカラーの生産性の低さを問題にしています。むしろ、日本の工場労働者などの生産性はトップクラスではないかと思われます。
ホワイトカラーの生産性とは
言うまでもなく、仕事のアウトプットは「働いた時間*仕事の密度」になりますが、この密度が問題となっています。従来から密度は測りにくいため、ホワイトカラーであっても労働時間に対して賃金が払われることになっている企業が多いかと思います。
本来、仕事のアウトプットに対して支払われるべき給与が、単に時間だけ居れば良い、となっていますので無理はありません。単純作業ではなく、考える仕事であるはずのホワイトカラーが時間だけになっているのです。
多くの企業で単に会社に来ているだけとしか思えない社員や、5時になると仕事を始めて毎日2時間とか決まった時間残業する社員を多く見てきました。残業代が生活給の一部となっているのですから無理はありません。
そのようなルールなのですから、雇用契約の中で個人の収入を最大化する行為ですので、良いか悪いかは別として誰も責められないと思います。
人口減少社会に突入し、人手不足が加速
今後、急激に労働人口が減少していくことは避けられそうにありません。また、上記のように日中は無駄な時間を過ごし、無理して残業して遅く帰宅するような生活が幸せなのでしょうか。「働き方改革」を進めようとしている多くの企業・政府はそこを問題にしているのだと思います。
同じアウトプットであれば、会社の生み出す付加価値(売上、利益、株価など)も同じはずです。それであれば、密度を上げて働く時間を短くしても残業代として支払っていた分も含めた給料は同じか、上げても良い計算になります。
早く帰宅し、家族と過ごす時間を増やしたり、会社以外のコミュニティーとの交流をするほうが余程有意義です。このような社外活動による情報や、新鮮な考え方から新しいビジネスアイデアが生まれたり、人的交流から売上につながったりもするのだと思います。
企業は採用難
私の知る限り、ブランドのある超大手企業以外、非常な採用難となっています。それは、新卒、中途問わず、人がいればよりビジネスを拡大できるにも関わらず採用出来ないのです。そこには、転職するとリスクもあり、企業年金や退職金などの生涯収入を考えると不利に働く日本の特殊な雇用環境の問題もあります。
日本人は就職ではなく、就社してきた経緯もあり、特定のビジネススキルが身についていない人が多いと言う問題もあります。この辺りを考えて法整備していったり、行政運営をしていくべき人達が真っ先に現職にしがみつき、外の世界を知らない人々ですから、短期的に変わりそうには有りません。
社員をシェアーしていく
それであれば、社員に副業を認め、多くの新興企業や業務経験が豊富な熟年層を欲しがっている中小企業などとシェアーしていくのが良いのではないか、と考えています。大量に新卒採用し長年経験を積んで、人脈も持っているような優秀な社員が大企業には大勢います。
本人達も、より社会や新しい企業に必要とされ、貢献出来るのであれば喜んで働く人も多いのではないかと思います。ルールが問題なのです。副業禁止や年金、退職金制度、雇用保険・健康保険制度、源泉徴収などなど。
本人達が一番不幸です。ある人が、これからは「百姓になれ」と言っていました。百姓とは農民の意味ではなく、昔の百姓は農業だけでは生計が成り立たず、農閑期などに多くの副業をしてやっと生活していたのだそうです。
そのほうが結果的には安定するのです。多くのスキル・経験が身に付き、特定の企業に過度に依存しない生き方です。
働く時間を削減し、ロボットに代替していくしかない
その為には、やはり実際に働く時間を短くし、その分密度を上げていくしかないのです。
人がやる必要もない、RPAロボットで代替
むしろ、自分がやる必要もないのだと思います。最低限の時間で最大のアウトプットを生み出せば良いわけですから、人を使ってやってもいいですし、むしろ人でなくても良いのだと思います。
BPOにも向かない
私は昔、BPOの会社にいました。そこでは人事、総務、経理などの間接業務を大企業から丸ごと切り出して人も受入れ、共同出資の会社を先ず作ります。そしてその業務をスリム化した上で中国などのオペレーションセンターに移管していくのです。
しかし、現在では多くの大企業で既に間接業務が効率化された状態になっています。ある程度まとまった業務量がないとBPOは成り立ちませんし、現在問題となっているのは、間接要員、直接要員全体の業務効率であって、複数のグループ会社に跨った同じルーチンワークが大量にある訳ではないのです。
RPAに向いている業務とは
そのため、個々の社員が持っている小ぶりな雑務を効率化していくことが求められています。このようか雑務の中で、結構自動化出来る業務があるのではないかと思っています。例えば下記のような業務が身の回りに沢山あるのではないでしょうか。
- インターネットで価格や仕様などを調査し、表にまとめる
- ERPに受注伝票を入力する
- 見込み企業の調査
- 月末に来た請求書をシステム入力し、発注伝票と突合する
- 給与計算、時間計算、残業時間計算
- 経費精算データ処理
など多くのPC雑務や調査作業などがあり、このような単純PC作業に追われている方も多いのではないかと思いますが、これらの多くは最近のRPA(Robotic Process Automation)により安価に自動化出来るようになってきています。