全ての産業が情報産業に向かう

全ての産業が情報産業自体になる、と言うのは言いすぎかも知れませんが、少なくとも、高度に情報を活用した産業にならざるを得ないと言うのは間違いないと思います。

企業単位ではそうなれない会社もあるでしょうが、高度に情報を活用出来る会社に変革出来ない会社は、余程の技術、特許などを保有しない限り生き残れないと思われますし、その競合優位性が未来永劫続く可能性はほぼ0でしょう。

既に従来から情報産業である業種・業態

元々、銀行、証券、保険などの金融業は情報をやり取りしたり、情報に基づいて価値を取引したり、統計的な確率計算によりリスクシェアーする保険サービスを販売したりする情報産業です。

銀行はお金を情報としてやり取りしており、最終差額を現金として調整しているのみで、数字的に持っているだけですので、見方を変えると、最近何かと話題のビットコイン等の仮想通貨のやり取りは正に銀行がやっていることであり、将来銀行にとって代わるものかも知れません。

余談になりますが、これらの仮想通過はお金の機能である「価値を測る」「価値を保全する」「取引する」機能の全てを備えています。

よって、後はどれだけの人がそれを信用するかの違いだけです。金本位制が崩れ、金と言う現物の裏付けが無くなった現在の通貨は人が信じなくなった途端、無価値となります。

その裏付けは政府の信用だけですので、現在のように国際を乱発して株を買っているような国を何処まで人が信用し続けるかだけの違いなのでしょう。

コンビニなどは正に情報武装した小売りとなっています。20年以上前から本部でPOS端末の販売実績を日々集計し、新商品を開発しては、データ通信で店舗に推奨商品、予測などの情報を流しています。ユニクロやH&M等のファストファッションも同様です。

不動産や人材紹介、中古販売なども売り手と書いての間の情報のマッチングを行う情報産業です。広告代理店なども、結局はマーケットの情報を扱い、様々なメディアの広告媒体を販売する情報流通的な見方をすると、結構従来から情報産業と言える業界は以外に多いのです。

 

ネット情報への対応が競争力を左右する

生産活動自体の付加価値はほぼ無くなり、共通財となる

よほど特殊な製品で人間でないと生産出来ないような物以外は、手足となるロボットをAI人工知能がコントロールする生産設備が並んだ工場で生産され、需要に柔軟に順応して小ロット、個別生産されるようになるでしょう。

世界中に分散したそのような小規模の工場で生産され、何処で生産されているのかを殆ど意識する必要は無くなると考えられます。それは、企業も国境も殆ど意識することなく、最も効率が良い場所で生産され、生産能力自体が共通財のような感覚です。

食品においても、その原材料となる穀物や野菜、食肉なども機械により管理された大規模な工場で生産され、加工工場へと運ばれます。食べ物の需要は地球規模で見れば人口動態でほぼ予測出来るものですから、今のように大量の食品ロス・廃棄を無くし、必要な時に必要なだけ生産できるはずです。

基本的な衣食住は満たされ社会インフラとなった時、そこには何処に人が何人いて、何食分必要になるのか、需要情報の連鎖だけになるはずです。

付加価値はバリューチェーンの上流へ移動する

こう考えると、原材料にしても、それを加工して製品にする工程にしても、余程特殊なもの以外は付加価値を失い誰が(人では無いかも知れませんが)どこで生産していようが関係ありません。

私のいた会社は昔、半導体の事業を始めると言って4,5年で最先端に近い線幅のLSIを生産、販売するところまで出来ました。台湾や中国の半導体・液晶メーカーが資本力をバックに急激にシェアを獲得した理由がここにあります。

生産技術自体は製造装置メーカーが持っており、そこから製造装置を買ってきて、日本のゼネコンにファブの設計をさせれば液晶工場等も簡単につくることが可能です。そして、キーテクノロジーを持ったエンジニアもお金で雇ってくれば良いのです。

結局、差別化要因はデザインやブランドなどになるのだと思います。自動車にしても、もう間もなく電気自動車の時代になりますが、電気自動車では部品点数は数分の一になり、明らかに不要となる部品も多数存在します。

燃料タンクや点火プラグ、トランスミッション、エンジンブロックなどの多くの現在の基幹部品です。メインは電池であり、モーターになります。現在、ショックアブソーバなどの足回り部品や電装品は既に外部の部品メーカーから調達しているのですから、それらの部品メーカーから買ってくれば誰でも車を製造できる状況となります。

テスラがそのものですが、21世紀に入って新たな自動車メーカーがつくられ、あそこまで成功すると思っていた人がどれくらいいたでしょうか。やはり、バリューチェーン上の負荷価値はコンセプト、デザイン、ブランドなどの上流にしかなくなるのです。

やはり、殆ど全ての産業が情報産業に向かう

現在でも、ほぼ同様の世界になりつつありますが、機械ものであればCAD上で設計し、データ転送すれば地球上のどこであっても3Dプリンターなどで物を作ることが可能ですし、半導体のようなものであれば、設計データを送れば回路に焼き付けることが可能です。

大量生産を考えると、現在はまだ非効率だったり、精度が出なかったりはしますが、技術的な課題は早晩解決されるでしょうし、ほぼ無人で人口知能ロボットが生産するのであれば24時間365日小ロット個別生産を無言で文句も言わず続けてくれるのです。

それは工業的な物だけではなく、農産物や畜産、水産物も人口減少、高齢化を背景に必然的にその方向へ向かわざるを得ない、むしろそうすべきなのだと思います。

やはり殆ど全ての産業において、情報をうまく収集・活用した企業のみが生き残り、繁栄していくのです。

社内データ戦略部門立上げ支援

 

 

 

 

関連記事

  1. RPA ツールの機能と選択のポイント

  2. GPS・地図情報の活用で物流コストを大幅に削減できる

  3. 丸投げITが危険な5つの理由

  4. ネット情報の収集・活用が競争力を左右する

  5. あふれる情報を選別する方法

  6. cocmmoditize-purchased-goods

    購買部門が企業の競争力を左右する

カテゴリー

人気の記事