AI 予知・予防保全で良くなる5つのこと

AIによる予防・予知保全は世間で騒がれているほど浸透していないのが実態です。むやみやたらとセンサーを付けまくるのではなく、費用対効果を意識して、生産する製品や工場ラインの特性にあったアプローチを考える必要があります。

こちらではその辺りの考え方をご説明しています。

生産方式の特徴

製造業における生産方式には大きく分けて、組立系の製造業プロセス系の製造業があります。

組立系製造業

一般的に組立系の製造業は部品、または半製品(Assy/モジュール)の状態で部品メーカーから納入された部品を組み立てる最終組立工程のみを行います。

そのため、製造ラインはそれほど複雑にはならず、工場・設備の建設費用も製品の付加価値に対して大きくはないのが通常です。

よって、どちらかと言えばラインの稼働率、ラインスピード(≒単位時間辺りの製造可能数)を重視する傾向にあり、部品・半製品を含めた在庫数、金額を低く抑えるほうが有利に働きます。

 

プロセス系製造業

プロセス系の製造業では、製造している製品が素材だったりしますので、付加価値はそれなりです。そして、その原材料は輸入してきた鉱物資源天然資源が多いと思いますので、その価格はそれほど高価でないものが多く、むしろ供給リスクの方が大きかったりします。

プロセス系製造の場合、その付加価値は製造プロセスにあり、巨大な装置産業が多く、設備も自社研究に基づく特注であり、高価で設備の稼働率を最大化することを求められることが多くなります。

特注設備ゆえに、その部品も高価なものが多く、棚卸在庫ではないためあまり表には出てきませんが、かなりの部品在庫(数量・金額)を保有していることが多いように思います。

プロセス系生産工場のIoT化にはPLCの理解が必須

製造している製品にもよりますし、一概に決めつけることは出来ないとは思いますが、上記のような背景をある程度把握しておいて頂ければ、下記の話もある程度、どの辺りに主眼を置いていけば良いのか理解できるかと思います。

 

AIによる予知・予防保全で良くなること

補修部品の在庫がAIによって最適化出来る

ある程度、故障する設備・部位が見えてくると、どの補修部品をどの程度、どこに在庫しておけば良いか計画をたてることが可能となってきます

また、部品在庫の補充タイミングも推測出来るようになり、最低限の補修部品在庫数量を直近のタイミングで発注することが可能となります

保守部品は棚卸(=製商品、部品など)在庫とは違い、帳簿上あまり表に出てこないため、SCM的な考え方が根付いていない会社が多いかと思います。

そのため、殆ど壊れない設備部品の在庫を腐るまで持っているようなことが多いように思います。プロセス系の産業では結構重要になってくると思います。

 

保全員のシフトが組み易くなる

製造している製品にもよると思いますが、工場は24時間365日稼働だったりするところも多いと思いますし、通常は3交代などのシフトを組んでいる会社が多いかと思います。

TBM(タイム・ベースド・メンテナンス) も含めて予防保全が出来るようになると計画的に保全員のシフトを柔軟に組む事が出来るようになり、突発呼出しに伴う残業、その報告などで、結構疲弊してしまうようなことを次第に減らしていけるようになります。

 

保全計画をたて、計画的にメンテナンス作業を進めていくのが一番効率的で、故障によるライン停止も少なくなる方法だと思います。

突発故障が最大の敵

 

突発故障が減り、設備稼働率が向上する

計画的にメンテナンス出来るようになると、予期せぬ故障によるライン停止を減らすことが出来るようになり、操業への影響を最小限に出来るのは当然のことかと思います。

計画的な修理であれば、ラインのオペレータは休むことが出来ますし、計画自体を繁忙期や納期直前などを避けて計画出来るようにもなります。必要な時に使えないのが一番困るのだと思います。

 

仕損じ品、不良品が減る

多くの場合、設備故障が発生すると、その時に製造していた製品・半製品が使い物にならなくなったり、再加工が必要になったり、製品のグレードが落ちてB級品扱いになったりする事が発生します。

予防保全、計画保全が出来るようになると、それらの問題がほぼなくなるのだと思います。

特に電子部品・基盤などの組立系の産業では、ちょっとしたラインの状態変化で不良率が上がったりしますので、生産ラインを安定させることが重要です。

 

納期遵守率が向上する

製造責任者側として一番困るのが、顧客の信頼をなくすことに繋がる、顧客に約束している納期を守れなくなることです。

特に、賞味期限があるような食品、日配品などは日に3度4度の店舗納品時間が決まっていたりしますので、1時間のライン停止でも結構混乱するのではないでしょうか。

このような事が発生すると、多くの場合近隣の自社工場での代替生産をし、急遽、トラック配送の手配などを余儀なくされます。このような無駄な物流費もコスト的には結構効いてきます

 

また、食品以外の全ての製品に使用期限、型落ち、販売機会ロスのリスクが存在するのだと思います。計画的に生産出来ないことで在庫偏在売り逃しによる過剰在庫をまねく可能性もあります。

ラインの安定稼働は直接的な問題以上に影響が大きいと考えたほうが良い

予防・予知保全サービス

 

 

 

 

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