CRMの真価はローパフォーマーの底上げにある

CRMと言うシステムを皆さんも名前位は聞いたことがあるのではないかと思います。

通常は、マーケティング営業(SFA)カスタマーサービスなどの機能領域(モジュール)を含むパッケージソフト製品ですが、導入している会社でもうまく使いこなせている会社は少ないのが現実のようですので、こちらではどうCRMを使えば良いのかの考え方をご紹介しています。

SFA(営業)とは

SFAの機能

SFAでは次のような情報を管理するのが一般的かと思います。

◆ 営業案件管理

  • 受注時期、売上見込額、対象の製品・サービス、コンタクト履歴、提案内容、商談の進捗状況、受注確度・・・など

◆ 顧客管理

  • 顧客企業名、住所、電話番号、担当者、組織、売上規模、社員数、過去の取引履歴・・・など
  • 既に導入している製品(メーカー)、サービスとその導入時期
  • 顧客企業内のパワーストラクチャ(誰が決済権限を持っていて、意思決定者が信頼し助言を求めるのは誰か、誰が自社のサポーターか、誰が競合に近いかなど)

これらの情報を外部から調査したり、営業マンが訪問した際に入手した情報としてシステムに入力していきます。

営業部門の管理者は、商談の状況を把握し、その案件がどの程度の確率でどの程度の売り上げになりそうか把握でき、担当営業マンは具体的な営業活動の相談や、指示を管理者から受けます。

SFAはビジネスツールととらえる

一般的には上記のようなシステムがCRMの営業モジュールとして提供されていて、この機能のことをSFA(セールス・フォース・オートメーション)などと呼んだりします。

昔からシーベル・システム(今はオラクルの一部)などがあり、そう新しい概念でもシステムでもないですし、難しいシステムでもありません。

では、なぜ使いこなせない会社が多いのでしょうか? それは使い方、求めるところが違うからだと私は思います。

CRMはシステムとして捉えるのではなく、ビジネスツールとして捉えると導入プロジェクトの進め方、使い方も変わってくると思います。

このSFAシステムを導入したら売上が上がる、と思い込んでいる管理者がいますが、いくら精緻に管理しても、かえって営業マンの入力負荷が上がるだけで売上増には繋がらないのだと思っています。

 

SFAを導入しただけでは売上げは上がらない

よく勘違いされている方がいらっしゃいますが、CRMの営業機能(これをSFAと言いますが)を導入したからといって、それだけで売上が向上するようなものではありません。

基本的には、顧客企業担当者営業案件などの情報を現場の営業マンが入力して、営業マネージャが次のアクションのアドバイスをしたりして契約まで進めていくプロセスを管理するシステムです。

CRMは主に企業相手に営業活動をするBtoB企業が使うシステムですが、

その営業活動をある程度定型化して、受注に向けて必要なタスク、アクションが抜けていないか、必要な情報は取得出来ているか、どの位の受注金額でいつ位に受注出来そうか、などの情報を共有・管理していきます。

 

SFAの価値はローパフォーマーの底上げにある

トップセールスのやり方は真似出来ない

CRMの正しい使い方は、ローパフォーマーの営業成績を標準的なレベルまで底上げする為に使うものです。

放っておいても売ってこれるトップセールスにむりやり通り一辺倒の詳細情報を報告させたり、営業スタイルを型にはめようとしてはいけません。かえって売ってこれなくなったり、最悪の場合、競合に引き抜かれたりするのが落ちです。

通常、トップセールスマンは独自の人的コネクションや、言い回し殺し文句を持っていたり、本人のキャラクターで売ってきていたりします

トップセールスマンのやり方をそのまま定型化して他の人間がマネても結果を出せるとは到底出来ない

 

普通のセールスマンのやり方を標準化する

しかし、それらのトップセールスマン以外の普通に、安定的に売って来れる営業マンのやり方をまねる事は誰にでも出来るのだと思います。

  • 当然するべき営業トークを整理する
  • 入手すべき情報を整理する
    • いつ位に買う予定なのか
    • 予算はどの程度か
    • 競合はあるのか
    • 現在何を使っているか、取引関係
    • 意思決定者、助言者、その他関係者(競合に近い社員)
  • どこの競合と話しているのか

などの情報です。そして、契約に至るまでのプロセスを整理します。例えば下記の様なものでしょうか

  1. リード発掘
  2. 営業訪問・デモ
  3. 見積提示
  4. クロージング
  5. 契約手続き

これらの説明・入手情報とプロセスをうまく定型化し、どこまで商談が進んでいるのか、入手すべき情報は取れているのか、意思決定をする上層部にコンタクト出来ているのかなどを確認し、指導していきます

これをやることで、今まで売上が上がっていなかったローパフォーマーを平均的なレベルまで底上げできる可能性があるです。CRMを使ったからと言ってそれだけで効果が出るとか、CRMのどのツールを使うかではありません。

その使い方、考え方が問題なのです。正直言って多少の使い勝手の違いはありますが、システム会社も互いに競合製品を研究していますので、機能的な違いは殆どないと考えて良いかと思います。

 

マーケティング、営業、サービスを通した情報連携こそがCRMの価値

CRMにはマーケティング営業、そして販売・出荷した後のサポート、問合せなどを管理するサービスの機能まで持っているのが通常です。実は、

これらのモジュールを全て通して使うことに意味があります。それは、LTV(Life Time Value)を重要視する考え方から来ています。

仮に、営業段階では競合とコンペになっていて値引きした価格でしか受注出来なかったとしても、その顧客と長くつき合い信頼関係を構築出来れば、その後の修理サービスや、継続・追加購入、消耗品や周辺の製品も含めたトータルでの利益を狙えるのです。

また、一旦その会社とお付き合いを始めれば、相手も気を許すところもあり、社内のいろいろな情報を入手出来るようにもなります

そうして、顧客企業の財布の状況や、予算次年度に何を購入しようとしているのか、課題は何なのかなど、様々な情報を入手出来ますので、次からは競合に対して遥かに優位な立場で営業活動を進める事が出来るようになるのです。

新規顧客開拓は既存顧客からの追加売上の数倍以上のコストを要する

 

 

 

関連記事

  1. CRMは全社の意識改革として名刺管理から導入する

  2. CRMやERPの見積りが使えない理由

  3. CRM とERPは直接つながらない

カテゴリー

人気の記事