WinActor 月額 2万円~ クイック導入

PC業務を自動化・効率化出来ると最近話題のRPAですが、その導入の考え方として2通りがあります。1つの考え方は、会社全体の業務プロセスを整理・見直し、効率化する「全体最適化」の考え方。

もう1つは手作業が煩雑で、今正になんとか改善したい業務に対してクイックにRPAを導入して、その業務を効率化する考え方です。ここでは、この短期でRPAを導入して早期に効果を享受する、いわゆる「クイック・ウイン」導入についてご説明しています。

短期で効果を出すためのRPAソフト選定

RPAソフトは気軽に使ってみる

業務ユーザーは今現在の手作業の多さ、煩雑さで困っているわけですから、大規模なRPAサーバーの開発に半年以上も掛けていたのでは待ちきれません

やはり、先ずはRPA化対象業務を現状の業務のまま自動化出来る手軽なツールが良さそうですし、そのRPAソフトウエアの選定に何ヶ月もかける意味は無く、そうしている内に初期費用位は業務効率化の効果で回収出来てしまうものと考えられます。

 

RPAツール自体は技術的に難しいものではなく、従来の技術の組合せと理解する。従来のプログラム開発スキルがあれば十分開発可能。

 

そして、現在の仕事のやり方が非効率だと業務ユーザー自身が認識し、顕在化している業務でRPAツールの導入効果を実感した後に、その全社展開を計画すれば良いのです。

 

既に、RPAとはどの様なソフトで、出来ること出来ない事使い方のコツを把握していて、業務効率化の効果を実感出来ているのですから、全社展開のイメージをし易いでしょうし、予算化もし易いものと考えられます。

 

RPAは一旦導入して終わりではない

また、RPAによる業務効率化は従来型のシステム開発とは違い、一旦RPAで自動化して終わりにはなりません。RPAで自動化しようとしている業務が、従来型のシステム開発範囲から漏れたのはなぜかを考えて頂ければ解るかと思います。

  • 業務をカッチリと固めることが出来ず、柔軟な対応が求められる
  • 顧客都合や市場の状況に応じて必要な作業が変わってしまう
  • 業務プロセスが一方通行ではなく、行ったり来たりしながら固めていくような業務
  • 業務パターン、例外があまりに多い

など、従来型のサーバー開発のように開発当初の「業務要件」を決定し、ウォーターフォール開発モデルで何か月もかけてシステム開発するには向かない業務なのです。

ウォーターフォールIT開発の時代ではない

特にコア業務は自社の競争優位の源泉であり、ビジネス環境の変化に応じて常に改善していくべきものです。RPAで一旦自動化して終わりにはならないと考えて、自社で常に考え、少しでも効率を向上できるようにしていくべきです。

 

 

RPAの3形態で大きく価格が異なる

国内外のソフトウエアベンダーから様々なRPA製品が販売されています。これらを大きく分類すると、次の3種類に分類できますが、

月額2万円程度でその効果を確認できるので、その選定に時間・労力を費やすのではなく、先ず始める。

 

RPA 月額2万円~始める業務効率化

サーバー開発型RPA

サーバーを購入して、そこにRPAの基本パッケージを導入し、その機能を組み合わせて開発していくものです。完全にシステム開発になりますので、基幹システムの導入等と同様にトップ主導大規模プロジェクトとして実施する必要があります。

期間は通常3~6ヵ月で、数千万円程度の費用を見込む必要があります。これだけの費用・期間を掛けて大規模に開発するわけですから、当然、ある程度まとまった業務量(繰り返し回数)の作業が対象となります。

完全なシステム開発ですから、私はあえてRPAと言う必要もないような気もします。

【主な製品とライセンス価格】
  • Automation Anywhere(米Automation Anywhere):1300万円程度
  • Blue Prism(英Blue Prism)
  • Kofax Kapow(米Kofax):1500万円程度
  • NICE RPA(NICE Systems):350万円(サーバー版)

 

PC導入型RPA

こちらは実際に対象の業務をしている社員のPCにRPAをインストールして、日々繰り返し行っている少量の繰り返し業務を自動化するツールです。会社全体で纏める程ではないが、毎日繰り返し同じ作業をやっているため1時間、2時間の残業が発生しているような作業を自動化する小規模RPAです。

年間20万円程度の費用でRPAにこの残業時間を代替させることで毎日の残業が無くなり、ホワイトカラー本来の考える業務に時間を振り向けることが出来ますプログラムを書く必要は無いので、ユーザ自身でRPAのシナリオを作成することが可能です。

 

導入期間も社員自身がRPAシナリオを作成したとしても、通常1ヵ月程度で可能です。

【主な製品と価格】
  • NICE Advanced Process Automation(NICE Systems):25万4,000円(PC版)
  • NEC Software Robot(NEC):280万円/年程度
  • Bizbobo!(RPA Technologies):60万円/月程度
  • UiPath(英UiPath):52万円/年程度(最小構成)
  • WinActor(NTTデータ):90万8,000円(シナリオ作成版)/  24万円(実行版)

特にPC導入型のRPAは従来からある、いわゆるPCソフトですのでハード的な製品のように品質がバラついたりしません。NTT-AT社が開発し、NTT-DATA社がライセンス保守する契約ですから、どこの代理店から購入しても同じソフトコピーなのですから安くダウンロード購入すれば良いのだと思います。

クラウド型RPA

最後にクラウド型ですが、こちらはSaaS(Software As a Service)で提供されるRPAサービスです。クラウドサービスですから、基本的に初期費用が掛からず短期間(1ヵ月以内)で使用を開始できます。

費用も月額数万円~数十万円程度と手軽に使用を開始できます。通常のシステムがオンプレミスサーバー型のアプリケーションからクラウド型サービスに移行しているのと同様に、用途によってはこちらの方向へ今後移行していく可能性もあるかと思います。(現段階では機能が未成熟で、基本的に自動記録などの機能は無いようです)

難点としては、クラウドサービスですのでRPAを動作させている間もネットワークが通じている必要がある点や、セキュリティー面などでしょうか。

【主な製品と価格】
  • SyncRoid
  • GeAine
  • cobit(BizteX):10 ~ 30万円/月

 

このようにRPAのタイプによって、価格は大きく違ってきます

PC導入型のRPAはロングテールと言われる、個々の業務量としては然程でなくてもその種類が多いため、各ユーザーのPCに導入して自動化することで残業対応しているような作業を削減するのに向いています

 

 

上記の価格は基本的にソフトウエアのライセンス価格+年間保守料となっていますが、これに加え、サーバー開発型では導入費用が数百万円以上は必要となります。

この点を考えても、サーバー開発型のRPAは大規模プロジェクトとしてシステム実装する、いわゆるシステム開発であると言えます。これに比べ、PC導入型のRPA、クラウド型RPAは基本的にユーザー自身でシナリオ作成が可能ですので、手軽に始められると言えると思います。

余程の大量データの繰り返しでなければ、サーバー開発型にする意味は無さそうです。

 

導入コストは更に違う

RPA導入のプロジェクト体制

当然ですが、業務ユーザーが主導して今現在困っている業務にRPAを導入する場合でも、後々の全社展開による導入効果を考えると、当初からそれなりの導入体制を考えておく必要があります。

クイック・ウインとしてRPA導入による業務効率化の効果を実感出来たら、その効果を数値として把握して全社にアピールしましょう。この事によって、全社展開が進めやすくなり、プロジェクトを加速することが可能です。

企業トップが自ら指揮して全社プロジェクトとして進める場合は特に失敗は許されず、適切なプロジェクト体制や進め方を綿密に計画し、進める事をお勧めしています。

 

RPA導入費用

下記に導入プロジェクトに要する費用のイメージを記しておきます。(あくまでイメージですので、依頼される会社にもよります)

  • 【導入プロジェクト費用】
    • 業務ユーザー主導型:0円(業務ユーザー自身)~数十万円/月(保守サポート費用)
    • IT部門主導型:数百万円程度~(RPA導入コンサルティング費用)
    • 全社プロジェクト型:3,000万円程度~(RPA導入コンサルティング費用)

更に詳しいRPA導入・運用に必要となる「RPAソフトウエアライセンス」「RPA導入プロジェクト費用」「保守・運用費用」などをこちらでご紹介しています。 ⇒

 

また、実際にRPA導入を進めようとした場合には、要するコストと同時に得られる効果のバランスを見ていく必要がありますので、その辺りのROI(投資対効果)のイメージはこちらをご参照ください。 ⇒

RPA導入のROIを明確にする

 

RPA導入アプローチ

RPA導入アプローチもプロジェクト体制と合わせて考えていきます。これを間違えると、「人員削減」、「リストラ」目的と勘違いされ、ホワイトカラー社員の激しい抵抗にあったりする可能性があります。

導入アプローチについても、上のリンクの「RPA導入のアプローチとは:導入後の統制を見据えて」に記載しています。

また、先行してRPA導入を進められている企業の導入事例得られた効率化の効果をこちらに整理していますので、参考にされるのも良いかと思います。 ⇒

RPA導入事例【業務部門別】

RPA導入のスケジュール感

RPAを導入する場合に、どの程度の期間を見ておけばいいかですが、下記のプロジェクト期間イメージで問題ないと思います。

■ 業務ユーザー主導での導入

最初の1シナリオを業務ユーザーが自分で作成しようとした場合、3時間程度の導入トレーニングと、対象業務の選定、問合せ対応などのコーチング(コンサルティング)があれば、2,3日~1週間程度で作成可能です。

 

その後の展開はRPAシナリオ作成のスキルやナレッジを共有するポータルサイトや、シェアリングの仕組みが整っていれば、1部門2~3ヵ月もあれば展開可能です。

後は、どこまで部門横断で業務フローを再整理するかによります。

■ 全社プロジェクトでの導入

全社プロジェクトとして計画的に進める場合は、全社レベルでの業務フローの調査・整理が入りますので、少なくとも半年~は要します。ここに、ERP・CRM等の基幹システム連携などを同時に行う場合は更に長期を考える必要があります。

それでも、ERPなどの基幹システムの内部にアドオン開発するよりも遥かに短期・安価に効果を出せるのは明らかです。

 

自社に合ったRPAタイプの見極め方

PC導入型の難点は、過去のEUCブームの時のように、どこでどの様なRPAが動いているのかIT部門も認識できず、無管理状態となってしまう可能性がある点が挙げられます。

RPAシナリオを作成した社員が退職や異動してしまうと引継ぎもできず、その業務が手作業ではどうやっていたのかすら判らなくなってしまう可能性がある

当然のことですが、全ての業務をRPAで自動化出来るわけではありませんので、「ルール化出来る」「定期的に発生する」「PCだけで作業完結する」業務を洗い出し、整理して、同じ業務の繰り返しパターンが少なく、大量にある場合はサーバー開発型が向いているかも知れません。

逆に、多くの業務パターンを各社員が受け持ち、個々には1、2時間程度の場合はにPC導入型が向いています

 

 

そして、私が最も重要と思っているのが、業務ユーザー自身が使うツールですので、

  • 日本語マニュルが整備されている
  • 開発元のサポート体制

ではないかと思っています。複数のRPAを用途に合わせて使用されている企業もあります。

 

 

 

 

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